Solid State Logic Analogue Workstation System
AWS900+Demonstration & Seminar
Preamble
SSL JapanのM井さんからお誘いを頂き、都合をつけて参加する運びに。 AWS900+ (写真はこちら)でCM音楽や、バンドの録音を手がけている陽気なアメリカ人エンジニア、Donovan Stark氏がデモンストレータとして、来日すると聞いてとても楽しみでした。他の件もあり、ちょっと早めにSSL Japanに到着し、例のごとく、ポールポジションをゲット!
そうこうしているうちにドノバン氏がコーヒーを片手に、セミナーの最終準備を行いに、会場にやってきました。
「なにやってんのかなー?」と覗きにいくと、
"Hi!! I am Donovan. Nice to meet you!"と握手を。僕も自己紹介をして世間話を少々。とても陽気なナイスガイです。その後、セミナーに使用する機材などを観察していました。
About AWS900+
さて、ここをご覧になっている方でAWS900+がまったく何か分からないという方も少ないと思いますが、簡単にAWS900+を説明しておきます。
AWS900+はコンパクトなワールドクラスのアナログミキシングコンソールであると共に包括的なDAWコントローラーとしての機能を融合した革命的なシステムです。
24chのHA,EQ,Faderを持つ24chのミキサーです。DynはX-Rackを併用することにより拡張できます。また前述の通りDAWコントロールが可能です。言ってしまえばフィジコンにもなります。
Channel Strip
Channel Stripを上から見てみましょう。Channel input section
+15-+75dBの増幅率を持つSuperAnalogue HAと+/-20dBのトリムコントロールが可能なBalanced Line inputがあります。
もちろん+48V,PAD,phaseも装備。楽器入力用のいわゆる"Hi-Z input"も搭載しています。EQ Section
XL9000Kに搭載されていたSuperAnalogue EQ+HPF回路が移植されています。デフォルトでEシリーズEQ,もちろんGシリーズEQとの切替も可能です。
HPFは18dB/Oct,EQは4バンドEQで、Hi/Lo-MidがPeaking, Hi/LoはPeaking,Shelving切替可能です。またInsertのon/offボタン、Insert Point(Pre EQ/Post EQ)の変更もここで行えます。Cue Send/Fx Sends
Stereo Cue A/BとMono Fx Sendが二つ用意されています。Mono Fx sendは切替可能で、1/2と3/4、更にEFXバスへの切替が可能です。Dynamics
G,E,J,Kシリーズの各チャンネルに標準搭載されていたDynammicsはAWS900+では2つをアサインする、という形をとられています。X-Rackで拡張が可能なので欲しい人はこちらで拡張する必要があります。もしくはDAW内のPlug-inのコンプ等を利用するのがよいでしょう。
24本あるchannel moduleからは1つにつき、22個の出力が可能です(Stereo=2mono換算)。まず、Record bus(2),Mix bus(2),Group bus1-8(1×8)そしてDirect Output(1),Insert Output(1),Stereo CueA/B(2×2),Fx send1-4(1×4),( )内をすべて足してみてください。22になるはずです。
同時使用できないものもありますが、それはそれでうまく使えば非常にフレキシビリティ溢れる、ポテンシャルを持つchannel moduleです。Centre Section
右側にまとめられていますので、むしろMaster Sectionというほうがしっくりくるかもしれませんが、慣例に従ってCentre Sectionと呼びます。Manualにも"Centre Section"と記載されています。SSL Consoleになじみのある方なら何の違和感もないと思います。
G-Comp,Transport,DAW contorl,Assignable Dynamics,Echo Return,Monitor Level Controlなどが整然と並んでいます。Automation
Automationという単語事態、Recording業界ではSSLのAuto Mix機能を指すことが多いですね。Automation,Ultimationと進化してきたこの機能はAWS900+にも搭載されています。その名も"AWSomation"(オーソメーション)と言う名称です。Total Recall
これもSSL定番の機能ですね。AWSのTotal RecallはCentre Sectionも覚えてくれます。G-Compの設定も記憶可能なのです。コレをMIDIのdataとしてPCに取り込めますので大助かりです。DAW Control
AWS900+の売りのひとつにアナログミキサーながらDAWコントロールが行える(フィジコンになる)、という部分があります。プロトコルはHUIです。しかも全体的にモードを切り替えるのではなく、特定のchだけDAW faderコントロールであとのfaderはアナログミックス、ということも可能です。Overdubbing時に有効ですね。
SSLになじんでいる人であれば、あのFLIPを思い起こしていただければよいと思います。
E,G,J,KシリーズでのRecord StatusとMix StatusでのLarge FaderとSmall Faderの役割が、FaderとRotary Encoderになっています。つまり、インラインコンソールのようなイメージで使えます。
「EditをしないのであればPCのkeyboardは名称をつけるとき以外は不要」といっても過言ではないくらいになっています。
[Ctrl],[Shift],[Alt]がCentre Sectionにあります。Pro Toolsにinput/outputのアサインもAWS900+から行えます。Concept
DAW全盛の昨今においてアナログミックスを行う人は多々います。DAWをMTR+Editorとして使用し、ミックス作業は昔ながらにアナログミキサーを使用する、という形です。
もちろん不可能な作業ではありませんし、それでとてもよいミックを作っている人たちを知っています。
ただスタイルとしてはMTR+ミキサーという昔ながらのスタイルです。
AWS900+はDAWとの親和性が非常に高く、また完全に独立したアナログミキサーです。DAW全盛の時代にDAWを否定するのではなく、そのよさとSSLが持つSuperAnalogue技術をよい形で融合させるべく開発された製品です。
Seminar
Equipment
今回使用していたのは- Solid State Logic AWS900+
- Solid State Logic Alpha link(Interfaceとして)
- Solid State Logic Delta link(Interfaceとして)
- MIDI interface
- Reverb 2系統
contents
セミナー内容ですが、典型的なDAWを使ったスタジオでコントロールサーフェス、マイクプリ、EQ,サミングアンプ、トークバック、フォールドバックシステム、モニターシステムやアウトボードのプロセッサー(リバーブなど)を使用した上で、これらの作業の内容をAWS900+ではどうしていくのかを、下記の項目に従ってナイスガイ、ドノバン スターク氏がセミナーしてくれました。- 録音時
- HA/DI入力等をチャンネル入力として使います。
- バスやキューのイコライザーなどの設定の呼び出し
- センターセクションのエクスターナルモニターをモニターミキサーの入力として使用します。
- 16のチャンネルダイレクトアウトをDAWの入力に接続。
- MIDIポートのデータはこの場合トータルリコールに使用。
- トラッキングセッションでのシグナルフローおよびDAWとAWSの関係をご説明します。
- モニタミックスの作り方とAWSの関係をご説明します。
- AWSのコントロールサーフェスからモニターミックスの素早いコントロール方法。
- トラッキングセッションにおけるトータルリコールの効用(テンプレート等)をご説明します。
- ヘッドフォンへのフォールドバックの方法をご説明します。
- ミックスダウン時
- 24 DAW 出力をAWSの各24 ch ライン入力へ
- 24のDAW、AUXトラックと同じチャンネル名表示
- 24オーディオチャンネルミックスをDAWのステムマスターミックスに使用
- 24のDAW マスターステムチャンネルのアサインします。
- コンソールとDAWのオートメーションを同時に使用する方法の説明
- エフェクターのインサートやAUX送り時の標準レベルとコントロール方法
- オーデシオチャンネルでサミングされるステムミックスの考え方と使用法。
- アナログEQとバスコンプレッサーの効果的使用方法
- AWSのスーパーアナログサミングバスとDAW内のサミングの違い。
webでセミナーの様子を完全再現するのは無理がありますのでご容赦いただくとして、ここではかいつまんで印象に残った部分をご紹介したいと思います。
まず、AWS900+の発売当初の話になるのですが、ドノバン氏がクライアントと、「こんな製品発売されないかなぁ...」と希望を話していたそうです。
その内容とは、
DAWのコントロールが出来て、HAが24ch-32chくらい搭載されてて、音がよくて、コンパクトで、Talkbackシステムがあって、Monitor Selector機能があって、Headphoneモニターが出来て、一台に収まっているもの...。
その数日後ラスベガスの展覧会に行ったそうなのですが、そのときにAWS900+をみて仰天したと。話題に挙がった夢のマシンがそこにあったのだそうです。
早速クライアントに連絡を取り、デモ機を借りてテストしてみたそうです。
そのテストとは、
- DAW内のMixとAWS900+をサミングアンプとして使用したMixとを聴き比べてみるというもの。
- すでに完成している2ミックスに対して、比較の目的でAWS900+でミックスを施すというもの。
その結果に満足したクライアントは結果的に5台のAWS900+を購入、スタジオに設置したとのことでした。
その購入を決定したクライアントはこう言っています。
"Don't even consider buying anything else!!"(「他のもの買うなんて考えなくていいよ!!」)
相当気に入ったのでしょう。ちなみにそのクライアントとは世界中でヒットを飛ばしているProduce team "Jam&Lewis"とそのエンジニア Ian Crossです。もうひとつはMixの時に使える方法論です。AWS900+以外にも使える方法だと思います。
まずDAWのセッションでどのくらいのTrになるかにもよりますが、結構シンプルなセットでなければあっというまに20や30、ギターを重ねたりサンプルを入れたり、コーラスを重ねて、ステレオで、なんてやっているとあっというまに50をこえ、録音終了時には100Tr。なんてなことも少なくないのではないでしょうか?
例えばですが、
DsをKickに2本、Snに3本、タムそれぞれ2本×4、OHに2本、HHに2本、Ambに2本。コレですでに19です。BassにDIとマイクが2本、ギター1本につきマイクが2つから3つ...あっというま、ですよね。
ではコレをどうまとめて24のinputに入れるのか...ですが、まずDAW内でAUX trackを24本作り、そこに、例えば、AUX Trackを作り、
- OH L
- OH R
- Tom L
- Tom R
- Kick
- Sn
- HH
- Bass
- Gt L
- Gt R
- Gt Solo
- Pf L
- Pf H
- Syn L
- Syn R
- Loop L
- Loop R
- Vocal
- Harmoney L
- Harmoney R
- Ds Rev L
- Ds Rev R
- Reverb L
- Reverb R
Afterwords
誤解される表現かもしれませんが、、正直言って僕はDAWでのミックスでもアナログミックス特にこだわりはありません。むしろ迅速に目的のミックスにたどり着ける方が優先されます。ただフィジコンVs.アナログミキサーで操作性を考えたときには同じような操作が可能になります。そもそもフィジコンの開発理由が「アナログコンソールをいじっているかのような操作感」、ですから。
D-Commandなどのスタジオへの導入を考えてもその操作性のよさは明らかです。ということは同じ操作で、ミックスが完成するのであれば、完成度、満足度が高い方を採用したくなります。
ドノバン氏がDAW内でのミックスとAWS900+でのラフMixを聞かせてくれましたが、明らかにAWS900+のミックスの方がパンチがあります。単にアナログが好き、とという理由ではなくより良いミックスを行う、という視点に立ったときにAWS900+が非常に有力なツールになることは間違いないでしょう。
一時期ProToolsがあれば仕事になる、という状況がありました。確かにすべてが収まった優秀なシステムです。ただ、スタジオでは、TalkBackはどうするのか?モニターセレクターはどうするのか?様々な追加機能が必要になります。それらがすべてが1台に収まった、非常に優秀な回路を備えたミキサーです。実機を触ってみたい人はお気軽にお問合せください。2008/7までにAWS900+をご成約いただくと、もれなくX-Rack+Dynモジュール8本を進呈します(¥1,119,215-相当)。
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Product Review最終更新日はAug 25, 2023 Friday 07:50 JST です。
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