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DAW System構築について

今回はプロダクトレビュー番外編です。機材に詳しい(と自分では思っている)EngineerがDAWシステムの構築のお役に立てれば,ということで筆をとりました。いや,キーボードを叩きました。

先日盛況のうちに終了したCubase Start up Seminarなどへの来場者数や店頭でDAWコーナーへいらっしゃる方が近年増加している印象があります。ボカロPなどの露出の影響もあるでしょう。

DAWを初め録音系の機材はシステムで動くものが多いのでアコギを買ってその日からすぐに練習!というような感じに行かないのが少し厄介です。

勘違いで余分なものを買ってしまったり,全部揃えたつもりが揃ってなかったり,ということがあり得ますのでそのお役に立てればと思います。もちろんご相談くださるに越したことは無いのですが,なかなか人には訊けないものです。この記事を読んで「ふーん,なんとなくわかった気がするから相談してみようかな」というきっかけになれば幸いです。機材に詳しい(と自分では思っている)人間が記載しましたので完全に噛み砕けているか自信がない部分もありますが,ページ下部に表でまとめたり,音質向上のアクセサリーアイテムの掲載してみました。そちらもご参照ください。

では早速ご紹介していきます。

DAW -Digital Audio Workstation-

まずDAWとは何かを簡単にご説明します。DAWとはDigital Audio Workstation(デジタルオーディオワークステーション)の頭文字をとったもので古くは New Digital England社Synclavia(小室哲哉さんやユーミンなどが使用。加山雄三さんも所有していたとか)などもDAWとして考えられます。またYAMAHAが発売していたAW4416等もDAWと言えばDAWです。

ただ,今日のカテゴライズではAW4416はMTRに入ることが多いでしょう。ここではDAWをPC/Macをプラットフォームとし,その上で走るソフトに限定して紹介していきたいと思います。

DAW System

どこまでをDAWのシステムをするかにも拠るのですが,あまりに大掛かりになると業務録音スタジオクラスになるので,一般家屋である自宅で音楽製作を行うというあたりを中心に見て行きたいと思います。

ガチにスタジオ機材が必要な方は別途お問い合わせください。Solid State Logic AWS948のデモも可能です。

ではまず最小限のシステムを構築するステップから見て行きましょう(すべてのステップにおいてPCと楽器,マイクは除外しています)。

Minimum DAW SystemはDAWソフト + インターフェイス + ヘッドフォンで構築可能です。

DAW Minimum System

DAW

コレはDAWシステムを構築するで必須アイテムです。なんてったってDAWシステムなわけですから。いわゆるDAWシステムの中枢です。

後述するAudio Interface(オーディオインターフェイス)を購入すると簡易的なDAWが付属する物もありますので合わせてご確認ください。

またPCにインストールするのでOSとのマッチングもあります。Windowsのみのものや,Win7以降にしかインストール出来ないもの。また,インストールできても本来の性能が発揮できない場合もあります。

各メーカー公式ページの「基本作動環境」「System Requirement」などを確認の上お買い求めください。基本的な確認事項はCPURAM(メモリー)HD容量の3つです。

様々なメーカーからいろいろ発売されています。すべてというわけには行きませんがピックアップしてご紹介しましょう。( )内はメーカー名です,メーカーアルファベット順です。

プラグイン規格についてはサードパーティプラグインにて解説します。

Logic シリーズ(Apple)

Emagic社が開発していたのですApple社が買収したことによりApple Mac上のみで走るDAWとなっています。

Apple社らしいユーザーフレンドリーなGUIが特徴で,プロの方々もデモ制作などで多く使用しています。

またApple Macに付属するDAWソフト Grage Bandと多くの共通点があり,Grage Bandからアップグレードした際にも違和感なく使用できます。

Mac環境のみで使用可能です。

プラグイン規格:AU(=Audio Unit)

Pro Tools シリーズ(AVID)

世界中のスタジオで使用されているDAWシステムですがPro Tools Expressというバージョンが付属するインターフェイスもあります。フィジカルコントローラーも同社の製品で構築することができる,業務機です。PCでAudioを扱うというのが当初の開発コンセプトなのでAudioの音質には定評があります。一方MIDIの打ち込みはやや面倒な印象もあります。

プラグイン規格:AAX(=Avid Audio eXtension),RTAS(Real Time Audio Suite)

Win/Mac両環境で使用可能です。

SONAR シリーズ(Cakewalk)

アメリカで開発されてきたやはりシーケンスソフトがAudioを扱えるようになったDAWです。開発国のせいかやや派手目の音質です。

オーディオプラグインも充実していますので日本国内にも愛用者が少なくありません。

Winのみでしか走りませんが,その分安定しています。また同じスペックのマシンであればWinはMacより安価に上がることも少なく無いのでそのへんもメリットかもしれません。

Win環境のみで使用可能です。

プラグイン規格:VST(=Virtual Studio Technology)

Digital Performer シリーズ(MOTU)

一時期までApple Macのみの対応だったのですが,Winにも対応しました。

古くからMac一筋だったのでアレンジャーさんやキーボードの方には愛用者は多く,Logicと同じく愛用者の多いDAWです。

インターフェイスも開発しているのでシステムがまとめてMOTUという方もいらっしゃいます。

プラグイン規格:AU(=Audio Unit)

Win/Mac両環境で使用可能です。

Cubase シリーズ(Steinberg)

長い歴史を持つMIDIシーケンスソフトがAudioを扱えるようになったDAWです

VSTやASIOといったフォーマットを開発しPCでのオーディオを牽引してきた存在でしょう。MIDIを古くから扱っているので楽曲制作の支援機能は充実しています。

標準付属のオーディオプラグインがやや物足りない,というのがネックといえばネックでしょうか

Win/Mac両環境で使用可能です。

プラグイン規格:VST(=Virtual Studio Technology)


いかがでしょうか。僕がそれなり触ったことのあるDAWを列挙しました。この他にも,映像との親和性が高いNuendo,DSD録音も対応しているMerging Pyramix,音が良いと評判のStudio One,MasteringソフトWaveLab,自然な音質が特徴のMAGIX Samplitude, Mike Oldfielfd氏が愛用しているSound Forge,DJ系クリエーターが絶大な支持を寄せるAblton Live, Propellerheads ReasonなどDAWとはまでは行かなくても音楽制作のソフトが多くあります。

DAWは大きく2種類のカテゴライズができ,それはそれらの進化の過程によるものです。

一つはMIDIシーケンサーと呼ばれるソフトがオーディオ信号も扱えるようになった製品。ex.)Cubase,Digital Performer,SONARなど

もう一つは最初からAudioを扱うために開発されてきたもの。ex)Pro Tools,Pyramix

です。

自分のやりたいことを見極め絞り込んでいくことが大切です。あと,周りの人達の環境に合わせる,ということが使っていく上で一番重要なことかもしれません。単純に判らないことが訊けるからです。データーのやりとりも楽です。

DAW一覧ページ

Audio Interface(オーディオインターフェイス)

コレもDAWシステムを構築するで必須アイテムです。楽器やマイクなど外部からの信号をデジタルデーターに変換し,USBやFireWire,ThunderBoltなどでPCに転送します。マイクプリアンプというマイク信号を直接扱う回路やギター,ベースなどの信号を直接入力できるHi-Z回路を搭載したものがほとんどです。
録音の音質や同時に入出力できる数に影響する重要な部分です。

最近のPCはヘッドフォン端子が搭載されていますので入力を一切行わない(=聴くだけ),というのであれば不必要にも見えますが,PC標準搭載の出力端子の音質はあまり良くないので用意できたほうが良いですね。

また,PCに内部のデーターをアナログの電気信号に変換してくれます。いってしまえば通訳のようなものですね。

似たような機能の製品にMIDI Interfaceがありますが,こちらでは音声信号のやりとりは出来ません。ご注意ください。オーディオインターフェイスとMIDIインターフェイスの機能を併せ持つAudio/MIDI インターフェイスも販売されています。

オーディオインターフェイスはDAW以上に種類があります。チョイスのポイントを幾つかピックアップします。

同時にいくつの信号を入力するのか?
例えばギターをダイレクトにケーブルで接続してDAWに入力という場合には最低1つの入力があれば問題ありません。ところがキーボードをステレオで入力したいとなりますと同時に2つの入力が必要となります。
更にデジタル・ピアノを弾きながら歌も同時に録音したいとなりますと3つの入力が必要です。もっといってしまうとリハスタに持ち込んで生ドラムを録音したいとなりますと,ドラムキットにもよりますが最低4入力,多くなれば16入力位は必要でしょう。
同時にいくつの出力が必要なのか
ほとんどの方は2chで問題無いと思います。いわゆるステレオのL/Rです。ただ複数台のスピーカーも所有している方などはそれらを切り替え使用したりすることも有るでしょう。その際に毎回接続を変更していのでは厄介です。そういう時にはモニターコントローラー的な機能を持つインターフェイスのほうがよいでしょう。
PCにとの接続はどのような形式なのか
一番普及しているのはUSB2.0だと思います。また,Appleが搭載を停止したので急速に姿を消しつつある印象も拭えないのですがFireWireも優秀な規格ですね。
ハイエンド機に搭載され始めているThunderBolt,このあたりがPCと直接接続する規格になるかと思います。
またApogee SymphonyシリーズやAVIDの様に独自規格を採用しているものもあります(Apogee SymphonyシリーズはUSBでも接続が可能です。)。
拡張製はどのくらいあるのか
初めてやる方はあまり気にしないと思いますが,例えばSteinberg UR824はアナログに限定すれば8入力/8出力のインターフェイスですが,ADATというデジタル入出力を併用することにより最大24ch入出力可能なインターフェイスまで拡張可能です。コンパクトなインターフェイスは値段を抑えるためにもこのへんの機能が省かれているものが少なくありません。正直拡張性を求めない方,ポータビリティを優先したい方からすればコンパクトでお財布にも優しいほうが好まれるのは事実です。
またMIDAS VeniceF-32ALLEN&HRATH ZEDシリーズの様にミキサーにインターフェイス機能が搭載されている物も少なくありません。しっかりしたミキサーを作っている会社の製品はマイクプリアンプが優秀ですのでマイクからの信号に重点を置きたい方ご検討ください。
またミキサは豊富に入出力が用意されていますのでは特に何かを追加することなく接続の拡張性がありますのでこちらの検討頂くのもよいでしょう
電源供給
コンパクトなインターフェイスはバスパワーと呼ばれるUSBをやFireWireから電源供給を受け駆動するものが少なくありません。非常に便利なのですが,USBで供給できる電力量は決まっているのでハブなどでどんどん分岐していった場合には電力供給が追いつかなくなり,音声に歪みが出る場合があります(一度御客さんからこの症状で相談を受けたことがあります)。
ACアダプターやACケーブルからの電源供給が可能なタイプのほうが安心と言えば安心です。
PCとの連動性
USBやFireWireでPCに直接つなぐものですからインターフェイスのドライバーのインストールという作業が必要です(不必要な物もあります)。ドライバーがPCに対応している必要がありますので既述のDAWと同じく作動環境の確認はお忘れなきよう。

製品のラインナップは大きくDAWソフトがついてくるかどうかで分けることができます。Steinberg社のインターフェイスにはCubase AIがついてきます。ということはそういったインターフェイスを購入いただけば機能は限定されながらもDAWをインストールし使用可能ですので手始めにインターフェイスを買う,というのは良いのかもしれません。

ただ,Cubaseを例に取りますが,簡易版であるCubase AIと最上位モデル Cubase7.5(2014.1.25 現在)には機能に大きな差があります。DAWを用いてやりたいことの内容にもよりますが,上位バージョンの機能を調べて比較してからのほうが良いと思います。

前述のとおりインターフェイスは目的により多くのバリエーションが用意されておりすべてを紹介するのは難しいのですが,接続の種類に分けてザックリ分けてみました。

オーディオインターフェイス一覧ページ

オーディオインターフェイスUSB接続タイプ一覧ページ

オーディオインターフェイスFireWire接続タイプ一覧ページ

オーディオインターフェイスThunderBolt接続タイプ一覧ページ

オーディオインターフェイス上記以外の接続タイプ一覧ページ

Headphone

音を聴くためには音声信号を音波振動に変換する必要があります。それを担うのがヘッドフォンやスピーカーです(マイクは音波振動を電気信号に変換する装置ですね)。

音楽を聴くためのいわゆるリスニングヘッドフォンでも音は聞けますが少し難があります。可能であればモニターヘッドフォンという名称で販売されている製品のほうが良いと思います。

その大きな理由は音楽を楽しく聴くために作られている音を聴き分けるために開発されているかです。

自動車を例に出しましょう。高級車(=リスニングヘッドフォン)は長時間運転していても疲れにくいように設計されており,ナビやカーオディオが搭載されるなど運転に際してストレスが発生しにくいように設計/開発されています。一方,レーシングカー(=モニターヘッドフォン)はひたすら早く走ることを追求されて設計/開発されています。

目的の違い,という部分がある,というのが少しは伝わったでしょうか。家族団らんで出かけるときに目的地にひたすら早く到着する必要はありません。むしろ車内環境でゆったりできるほうがよいでしょうね。

ただ,DAWシステムの出力部,としてヘッドフォンを捉えた場合には音楽を聴くというよりは演奏や音を確認(=Monitor)するという必要がありますのでやはりモニターヘッドフォンという方が目的にはあっていると思います。

製品レビューからもご覧いただけますがヘッドフォンの製品レビューへのリンクを幾つかご紹介します。

KRK KNS8400,AKG K271mkII,AKG K612Pro,AKG K712Pro,あと業界標準のSONY MDR-CD900ST,YAMAHA HPH-MT120,YAMAHA HPH-MT220などが候補でしょうか。

最近ではオーディオリスニングの方ででも「高解像度なほうがよいなぁ」ということでこういったモニターヘッドフォンの相談にいらっしゃる方も少なくありません。

ヘッドフォン一覧ページ


さあ,ここまでがMinimum DAW Systemのセットです。だいぶコンパクトですね。お出かけセットと読んでも良いかもしれません。DAWがインストールされたノートPCとポータビリティに優れたインターフェイスとモニターヘッドフォンを持って出先で曲のスケッチを...。なんてことも可能ですね。

さて,次にだいぶスタジオっぽく見えてくるスタンダードDAWシステムをご紹介しましょう。

DAW Standard System

Standard DAW SystemはDAWソフト + インターフェイス + ヘッドフォンのミニマムセットにモニタースピーカーを追加したシステムです。

Monitor Speaker

いかがですかイメージイラストを見てもグッとスタジオ感が出てきませんか?

業務スタジオにおいて良いモニタースピーカーというのは顔でありきちんと調整されたモニターであれば長時間作業してもさほど疲れることなく作業が可能です。モニターがきちんと調整されていないと音量をあげても音像が見えづらくモニター(=確認)にならないのです。音波は空気振動,いわゆる物理現象ですから設置する環境にも大きく影響されますので「コレなら大丈夫」というものは存在しませんし,ジャンルよっても必要な音量や周波数レンジも異なりますのでやはり用途と好みに合わせて選んでいく形になります。

チョイスのポイントはいくつかありますが,

音量が大きすぎず小さすぎず
音量というと難しいかもしれませんので「アンプ出力」と解釈してください。カタログやwebで「出力:◯◯W」と記載されているものです。
小さいと問題があるというのは容易に想像がつくと思いますが,大きいと何が問題なのでしょうか。音量が大きいスピーカーというのはだいたい低音もしっかり出力されます。と言うのは低音を再生するウーファーと呼ばれるユニットは重たく,しっかり駆動させるのに大きなエネルギーが必要だからです。ダンプやトレーラーなどの大型車のエンジンの出力が大きいのと同じです。またはスポーツカーのエンジンが高出力なのと同じです。一方大きい出力のスピーカーというのは大きな音が出ます。大きすぎると音量を絞ることになるのですが,そうなってきますとスピーカー本来の性能が発揮できない,ということになってきます。300km/hで走ることが想定されているスポーツカーで農道を40km/hで走行している状態です。スポーツカーである必要なありませんね。軽トラックで十分です。
パワードかノンパワードか
スピーカーには
パワードスピーカー,若しくはアクティブスピーカーと呼ばれる,本体に電源が必要はタイプのスピーカー
ノンパワード若しくはパッシブスピーカーと呼ばれる,電源は不必要だが,別にパワー・アンプが必要なスピーカーの2種類が存在します。
どちらにもメリットがあるのですが,リリースの状況などを見るとパワードタイプのほうが流行っているようです。僕もパワードを使用しています。流行っている理由の一つにアンプもスピーカーも一体で販売できるので音のキャラクターがブレない,というのがあげられると思います。スピーカーに最適なパワーアンプ回路を搭載できるといっても良かもしれません。
パッシブはパッシブで組み合わせるアンプをチョイスできる楽しみもあるのですが,なかなかちょうどよいアンプを見つけるのが難しかったり,前述の出力の問題もあったりするのでしょう。
音質の好み
モニター・スピーカーですので正確さ色付けの少なさというポイントはのは程度に多少の差はあれどクリアしているでしょう。これらで作業する際に注意したいのが音質の好みです。
例えばですがふくよかな音が好みの人がスッキリした音質のモニター・スピーカーを使用するとどうなるでしょう。おそらく仕上がりは中域にエネルギーが集中したモノになるでしょう。
逆にスッキリした音が好みの人がふくよかな印象のモニターを使用したらどうでしょうか。おそらく高域と低域にエネルギーが分散した仕上がりになるでしょう。
様々なメーカーが色付けのない部分を目指し開発を重ねているにもかかわらず,はやり各メーカーの音というものは存在します。その部分を好みに合わせておくと良いと思います。

あと,コレは意見が分かれそうですが,作業していて楽しくなるスピーカーという部分もあっていいと思っています。
有名なスタジオモニターにNS-10Mという製品がありましたが非常に正確で辛口なモニターとして有名でした。ただ制作段階では正確すぎであら捜しをされているようだ,という意見も聞いたことがあります。ミキシングやマスタリングの際には正確なモニター環境,辛口すぎるスピーカーであるに越したことは無いのでしょうが,アイデアを形にするときには多少色があっても仕上がりがイメージできるモニター・スピーカーがお勧めです。

やはり製品レビューへのリンクになるのですが,過去に視聴したことのある製品のインプレッションへのリンクを張っておきますので各メーカーの音質傾向の参考にしてください(一番いいのは実際に試聴することなんですがタイミング的にも厳しい場合があるでしょうから...)。

ADAM A7,ADAM A5,ADAM A7X,ADAM A5X,ADAM A3X,ADAM S1X,ADAM S4X-V,ADAM S3X-V,ADAM F5,GENELEC 8030A,GENELEC 8250A,GENELEC 8260A,RCF Ayra 5,RCF Ayra 6,NEUMANN KH120A,FOCAL CMS40,FOCAL CMS50,FOCAL CMS65,SAMSON RUBICON R5a,Fostex PM0.4です。ピックアップして改めて思いましたがたくさんレビューしてきましたね(苦笑)。このことからモニタースピーカーが,新たなテクノロジーが投入された製品がどんどん開発され,それだけのニーズがある製品群ということがわかっていただけると思います。

ニアフィールドモニター一覧ページ


さあ,ここまでが DAW Standard Systemのセットです。可動性はグッと下がってしまいますが,逆をいうと常に同じ環境で作業ができるメリットがあります。

次はだいぶプロっぽく見えるセットです。

DAW Advanced System

コレまでのDAW スタンダードセットフィジカルコントローラーというアイテムを追加したシステムです。

イメージ画像の一番下のミキサーのようなものがフィジカルコントローラーです。早速紹介していきましょう

Pysical Controller

フィジカルコントローラー(フィジコン)という単語を初めて耳にする方も少なくないと思います。ぱっと見た感じはミキサーに見えます。と言うのはその昔(今でもですが)録音スタジオにはRecording Cconsoleという録音用の豊富な機能を持つミキサーと24tr-48trくらいの業務用MTRがあるのが普通でした。

それがDAWの登場により,まずMTRがスタジオから姿を消し,やがてDAWのミキシング機能が向上してくるに連れレコーディングミキサーもなくて済むようになってきました。ミキサーの修理代もかからなくなり,場所もコンパクトで済みますしメデタシメデタシだったのです。

ところが,すべての作業をPC内で行うようになると困ったこと出てきました。PCで作業するということはコントローラーはキーボードとマウス(正確にはトラックボールなども含むので「ポインティングデバイス」といいます。ここではマウスに統一します。)になるわけですが,これらは同時に1つの操作子を制御するのが基本となります。ミキシングに膨大な時間がかかるようになり,エンジニアは画面とにらめっこしながら片手はマウス,もう片方はキーボード。視力は落ちるわ,肩は凝るわで音楽に集中できません。

なんとかDAWの利便性とミキサーの操作性を共存させることはできないか,というコンセプトの基開発されたのがフィジカルコントローラーです。

ミキサーの操作子は基本的にノブとフェーダー,スイッチです,これらをコンパクトにまとめ,再生/停止などのトランスポートコントロール機能を装備しているものがフィジカルコントローラーと考えて頂いて良いと思います。
曲作りがメイン,という方にはさほど必要無いのかもしれませんがミキシングも自身で行う,しかもトラック数が結構な数になる,という方にはぜひおすすめしたいアイテムです。

並んでいるFaderの数も様々です。基本的に8chごとになっているものが多いようですが数年前から1Faderという製品もちらほら見かけます。ちなみに弊社RecStudioのフィジコンはYAMAHA DM2000というデジタルミキサー/フィジカルコントローラーです。24Faderあります。本体にDigital Production Consoleと記載されているだけのことはあり,ミキサー機能/フィジコンとしての機能以外にもCOMMUNICATION機能(演奏ブースにいるアーティストとコンタクトを取る機能)などもあり弊社Rec Studioの中枢としての機能を担ってくれています。

僕が愛用しているSolid State Logic Nucleusは16Faderで,プラグインのコントロールも可能です。更にインターフェイス機能も搭載しています。

また弊社の御客さんでMACKIE Mackie Control Universal Proをお使いの方もいらっしゃいます。MCU ProシリーズにはMackie Control Extender Proという拡張ユニットも用意されており8chごとの拡張が可能です。

弊社Rec Studioに導入されているYAMAHA DM2000をフィジコンとして使う前は1曲のミックスに非常に時間がかかっていましたがやはり同時に複数のFaderをコントロールできるようになるとMixの早さは数倍になります。専用コントローラーとして考えられていますのでストレスも減りますし,画面を見る頻度が下がりますから目での確認ではなく耳での確認となります。

フィジコン導入の際には幾つか注意が必要ですが一番重要なのはプロトコル(機器間の通信規約)がお使いのDAWとフィジコンで連携があるかどうかです。

あらかた問題無いのですが,Steinberg CMCシリーズの様に専用設計の物もありますのでご注意ください。専用設計のものは他との互換は乏しいのですが,やはりそのメーカーのDAWをフルコントロールできることが多いのででメリットは大きでしょう。

またDM2000の様にミキサー機能を持つフィジコン,いや,フィジコン機能を持つミキサーも業務機グレードながら販売されています。

フィジカルコントローラー一覧ページ


さて,主にハードウェアの説明をしてきましたが,DAWに機能を追加するソフト,プラグインの簡単な説明と購入時の注意点を簡単に記載します。

3rd Party Plug-ins

「プラグイン」とはホストアプリケーション(今回の場合にはDAWソフト)に対し誰でも差し替え可能になっているアプリケーションコードの一部分のことです。単体で起動可能な物もありますが,ほとんどはDAW上に呼び出すことでその機能を発揮します。
ここでの誰でもとは開発者以外でも,というニュアンスです。

いまいちちんぷんかんぷん,という方は前述のとおりDAWにエフェクター機能,楽器機能を追加するソフト,だと思ってもらって構いません。Adobe Illustratorなどを使っている方には違和感なく浸透するかもしれませんね。

プラグインには大きく2種類存在し,ひとつはいわゆるエフェクター,もう一つは楽器です。ボーカロイドも楽器カテゴリーのプラグインと捉えて問題ありません。

DAWにはある程度基本的なプラグインは付属していますからプラグインを買わないとDAWシステムとして駆動できないか,というとそんなことはありません。付属のプラグインを使い倒してはやり無理,と思った時が買いどきでしょう。

さて,DAWのところに出てきたプラグイン規格について簡単に説明しておきます。カタログなどではプラグインフォーマットと書かれている時もあるでしょう。これはDAW内部での音声処理の仕方,だと思ってもらって良いと思います。

ですのでLogic用のプラグインはDigital Performaerで読み込み可能ですがCuabse用のVSTプラグインはProToolsでは読み込めません。昔,LogicのプラグインをPro Toolsで再現しようとして一手間だった記憶があります。ただ,最近は殆どのプラグインメーカーがAU,AXX,RTAS,VTSのフォーマットでプラグインをリリースしていますので大きく問題にはならないと思います。

もう一つの注意点ですが,プラグインもやはりPCのにインストールするものですから,作動環境があります。購入したけどインストール出来ない,という悲しい事態にならない為にも事前にしっかりチェックしましょう。

また,プラグインは複数個同時に使うことがほとんどですので,少数使っているうちは問題なかったが,数がかさんでくるとPCの挙動が不安定になる,ということが考えられます。作動環境をクリアしているにもかかわらずです。

コレに関してはPCののスペックを上げるほか,根本的に解決する方法はありません。

前述のとおり,買わないと作業が進まない,というものでは無いのですが,一度使うと「やっぱコレだよなー」というのがプラグインでしょうね。体験版などで,使い勝手,OS/DAWとのマッチング,CPU消費量などを確かめてからご購入ください。

プラグイン一覧ページ


いかがでしたでしょうか。6つの製品郡に的を絞り3段階のDAWシステムを紹介してきました。弊社の御客さんはスタンダードシステムの方が多いようです。

もやもやしていたDAW/DTMのシステムのイメージがはっきりしてきましたでしょうか。

冒頭で約束したとおり,3種類のシステムとそのメリット/デメリットをまとめてみました。

ミニマムシステムスタンダードシステムアドバンストシステム
DAWソフト
インターフェイス
ヘッドフォン
モニタースピーカー-
フィジカルコントローラー--
サードパーティプラグイン
メリットコンパクトで機動性がある。安価作業環境を固定することにより,
安定した仕上がりが期待できる
ストレスの少ない作業環境の構築により
スムーズな作業が可能
デメリット作業時に音の共有が困難。
長時間の作業に向かない。
遮音などの環境に依存するが,深夜作業に向かない高価
イメージDAW Minimum SystemDAW Standard SystemDAW Advanced System

予算とやりたいこととのバランスをうまくとってみてください。


ここではなくても正常に録音/再生はできますがあればより高音質なアイテムを幾つか紹介しましょう。すべて僕が試して効果がある,と認識したものです。

アクセサリー

インシュレーター

スピーカーの下に敷くことが多いでしょう。英語ではinsulatorと綴りますが,Inslateとは隔離する,遮断するという意味です。ではインシュレーターは何を何から隔離するのかというとモニタースピーカーからの振動を外部へ伝えない,外部からの振動をすスピーカーに伝えない,というものです。

スピーカーは前述のとおり,電気信号を音波振動に変換します。つまり振動とは切っても切れない関係にあるのですが,自分自身が振動している時に外部から別の振動が来たら振動にムラや濁りが出ます。

また,自分自身が振動しているエネルギーが台を伝わて外部に逃げると正しい音波振動が生成されなくなります。

もちろん,しっかリした台があってのことですがインシュレーターを敷くと音は基本的に改善します。

高価な物もありますが,お手頃な物もありますので気になる方は是非試してみてください。

audio-technica AT6099,Super Spikes SS1

インシュレータ一覧ページ

スピーカースタンド

スピーカーを支える大切な部分です。高さを稼ぐ台,ではありません。インシュレータと同じく対策が施されているものも少なくありません。弊社スタジオではKRYNA Stageを使用しています。

KRYNA STAGEのレビューです。

オーディオ好きの方からもご注文頂くことが多い製品です。

マイクホルダー

今回マイクの紹介はあまり行いませんでした。と言うのは用途が多くあり,コレを持っていれば大丈夫,というのがなかなか紹介しづらいのです。なのにマイクホルダーを紹介するのもちょっと変ですが,音質向上アイテムの紹介ということでご理解ください。

マイクとは先ほどのスピーカースタンドやインシュレーターと同じく,いやむしろ逆に音波振動を電気信号に変換する重要な部分です。

その部分の振動対策はあまり積極的になされてきた,とは言いがたい部分があります。そんな中,試して白眉だったのがENHANCED Audio M600Rycote InVision USMです。

ボーカルやアコースティックギターなどの生楽器の録音が多い方は是非試してみてください。

Afterwords

さて,長々書いてきましたがいかがでしたでしょうか。いろいろ関連するものを上げ始めるときりがないのでコンパクトにしたつもりですが,ひょっとしたら過去最大量かも知れません(汗)。

気になる部分がありましたらお気軽にお問い合わせください。

date:
Writer:Takumi Otani

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