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NEUMANN
KH120A

今回試せたのドイツのは名門マイクメーカーNEUMANNから登場したモニタースピーカー KH120Aです。艶やかで伸びのある音がするマイクメーカーNEUMANNが満を持して発表したモニタースピーカーです。どんな音がするのか楽しみですね。早速見ていきましょう

Product Overview of KH120A

デモ機が到着してからの早速開けてみると重い...。6.2kg。正面のサイズはA4くらいでしょうか。意外とずっしりくるなぁと思いました。黒のつや消しのアルミのボディに NEUMANNのロゴが素敵です。側面からみるとフロントパネルがラウンドしています。ウーファーとツイーターは正面を向いているっぽいのですが、反射の観点からなのでしょうか

テクニカルスペックです。

ドライバ
25mmツイーター/130mmウーファー
周波数特性
52Hz - 21kHz ±3dB
セルフノイズ
< 20dB(A)(100dB/0dBu@10cm)
最大音圧レベル
111.1dB SPL (100Hz/6kHz 平均)
ツイーターアンプ出力
50W (ピーク時80W)
ウーファーアンプ出力
50W (ピーク時80W)
クロスオーバー周波数
2.0kHz
クロスオーバースロープ
24dB oct/4th order
EQ Bass
0/-2.5/-5.0/-7.5(dB)
EQ Low-Mid
0/-1.5/-3.0/-4.5(dB)
EQ High
+1/0/-1/-2(dB)
プロテクション回路
リミッタ(Low/High)
低域フィルタ
30Hz 6dB/oct
アナログ入力
XLR 10kΩ バランス型
入力ゲインコントロール
0dBu - -15dBu
出力ゲインコントロール
94/100/108/114dB SPL
CMRR
< 56dB @15kHz
ロゴ表示
電源ON時は白/リミッタON時は赤
電源電圧
100V - 240V 50/60Hz
消費電力
200W(最大)
寸法
W182 x H277 x D220(mm) リアパネルマウント用金具 (M8 x2)
重量
6.2kg (1本)

EQがHigh,Mid,Lowではなく、High,Low-Mid,Lowなのがちょっと不思議ですが、その理由は後ほど判明しました

指向性は基本的に、(VxH共に) 30度と見ておいて問題なさそうですが、X-overの2kHzあたりは狭まっています。

Sound Impression of KH120A

さて、実際の音ですが、Annex Recording Control Roomに場所を移してADAM A7と比較しつつ音を確かめていきました。

最初はPT9のマルチトラックを聞いて行ったのですが、一緒に試聴を行ったqtrから「ソースがADAM A7に最適化されている可能性があるので試聴のソースとしては不適切だ。」と反論の余地のない指摘をされ、CDでチェックを行うことにしました。

YAMAHA DM2000のモニターセレクターで切り替えつつ、まず同じ程度の音量になるように調整、EQは一旦フラットなまま試聴です。

最初に感じたのは「?」と言う印象。僕が持っていた「NEUMANNのモニターならこんな音するんじゃないかなぁ」という先入観と偏見に対して結構違った印象の鳴りっぷりです。もちろん悪いのではなく、予想と違ったので戸惑ったというニュアンスです。
ぱっと聞いた感じの印象では「思ったよりジャリっとした感じだなぁ」と言う物です。もちろん部屋の環境や、電源環境に大きく影響される部分もあると思います。X-OverFsの上あたりにピーキーな部分を感じます。

EQをいろいろいじってみます。なんとなくしっくり来るセッティングを見つけ再度試聴です(サラッと書きましたが結構試行錯誤しました)。

さて、ADAMに最適化されている、というMixを今度はKH120AでMixしてみました。といっても10分程度で作ったラフですが。今度はそれをADAM A7で聴いてみました。非常に明確な違いが出ました。奥行き感の再現性がKH120Aの方が上です。再度EQを調整してみます。「あ、いい感じかも」と言う状態発見です(いいかどうかは別として)。今まで気になっていたピークがだいぶ薄まりました。
定位感や奥行き感など3Dなどのチェックに移ります。まず前述のとおり,KH120Aの奥行きの再現性は目をみはるものがあります。モニターの内部に見える奥行きが1.5倍くらいになったような感じでしょうか。その分左右の広がりはADAMに比べるとやや弱い気もします。ただ、KH120AをADAM A7の内側に置いたのでそこは影響しているでしょう。

ADAM A7のARTツイーターの影響も大きいと思いますが、高域のレンジ感はA7に一歩譲る部分があります。が、中低域の存在感はADAM A7では感じられない感じのもので好印象です。

中域が芳醇なモニターと言えると思います。ごちゃつく感じではないのですが、EQがLow-Midになっている理由がよくわかりました。しかも最高-4.5dBまでいけるのですっきりさせたい人にも向いているでしょう。NEUMANNも足すよりは引くほうがいいだろう、と判断したのかもしれません。
ここまでしっかり中域が出ていて,音像がごちゃつかないのはすごいことだと思います。

さてさて、EQやDynの追従性をチェックです。Kickをソースにして40Hzとかをブーストしてみました。いい感じにドフッと言う音が聞こえます。アンプに負荷がかかってる感じは皆無です(音量にも依ると思いますが)。
低域にFilterが入っているのでそれが再生不可能な低域を切り捨てているのでしょう。低域を強引に突っ込んだ時にありがちなバコンと言う状態は皆無です。スペックのレンジ感よりもしっかり出ている感じですね。
さてコンプに対するレスポンスですが、これはADAMの方が優秀でした。もちろんKH120Aだとわからない、と言うのでは無くA7の方が分かりやすい、というレベルのものです。

さて、終始違和感のあった、X-Overあたりのピーキーな感じですが、ひょんなことから解決しました。リスニングポイントがやや低かったようです。空気椅子状態で聞くと非常に好印象でした。付属のガイドシートには下から170mmが軸だ、と書いてあったのですが、もう少し上のように感じました。まぁ、好みもありますし、セッティングの時にいろいろ試してみていただければと思います。

最後に音量変化に依るバランスの変化ですが、これはやや弱いようです。下げていくとレンジが上の方からこじんまりしてくる感じでした。ある程度鳴らしてもOKな環境でないと面白くないと思います。

Afterwords

KH120Aで一番素晴らしいと感じたのは,前述の内容と重複しますが,奥行くの再現性です。音が遠いスピーカーや,左右の広がりが優れているスピーカーは多々ありますが,奥行きがきちんと再現できるスピーカーは結構少ないのではないでしょうか?
芳醇な中域に対して音がごちゃつくことなく,しっかり見えつつ,奥行きも再現できている。この価格帯では意外と見当たらないと思います。

トータルとしてNEUMANNの名に恥じない非常に優秀なスピーカーであることは間違いなさそうです。

高級な機材は中域の再現性が素晴らしいとよくこのレビューでも書いていますが、今回のNEUMANNを聴いてやはり重要な帯域であると認識できます。

生音のMixやRecが多い方には結構おすすめできるモニターかな、と思います

NEUMANN,KH120A 画像

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checker:Takumi Otani

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Product Review