sE electronics
sE8 PAIR

さて今回見ていくのはペンシルマイクです。sE electronicsの新製品sE8 Pairを早いタイミングで試すことができました。

同社のsEシリーズを3,5と愛用している僕としては新製品ということで非常に興味があります。sE6,sE7がないのが気になりますが,早速見ていきましょう。

Product Overview of sE8 PAIR

まずはSpecと参りましょうか。参考までにsE5のSpecも記載しておきます。

Spec of sE8

タイプ
スモールダイアフラムトゥルーコンデンサー
指向性
カーディオイド
周波数特性
20Hz - 20kHz
感度
25 mV/Pa (-32 dBV)
最大音圧レベル
139 / 149 / 159 dBSPL (0/10/20 dB パッド) (0.5% THD @ 1kHz)
セルフノイズ
13 dB (A)
ダイナミックレンジ
126 / 136 / 146 dB (0/10/20 dB パッド)
S/N比
81 dB
ローカットフィルター
80 / 160 Hz、6 dB/Oct (選択可)
パッド
10 / 20dB (選択可)
動作電源
ファンタムパワー48V (IEC 61938 準拠)
インピーダンス
110Ω
推奨負荷インピーダンス
1kΩ以上
消費電流
2.7 mA
コネクタ
XLR 3ピン
外形寸法
23 mm (直径) x 120 mm (長さ)
本体重量
141 g
付属品
マイククリップ (変換ネジ付き)、ウインドスクリーン

Spec of sE5

タイプ
コンデンサー
指向性
カーディオイド
周波数特性
20Hz - 20kHz
感度
-34dBV/ Pa
インピーダンス
200Ω
等価ノイズレベル
14 dB
S/N比
80 dB
最大音圧レベル
150 dB
動作電圧
+48V
付属品
ショックマウント、ステレオマウンティングバー、フライトケース

感度が2dB良くなっており,ノイズレベルも1dB改善されています。PADが10,20dB搭載されたことにより最大音圧レベルも上昇しています。

インピーダンスが約半分になっていますが,推奨インピーダンスは1kΩ以上と(600Ωと比べて)少し高めに設定されています。

sE8とよく組み合わせそうなHAのInput Loadを確認したところどれも1kを超えていました。110Ωであれば600Ω受けでも問題無いと思いますが,何故1kΩ以上推奨なのか興味は尽きないところです。開発環境と同じ音質を提供したい,というメーカーのこだわりかもしれません。

Sound Impression of sE8 PAIR

sE3、sE5の後継機種に相当しますからDsのOverheadに使用してみました。

僕はステレオバーを使用することが多いのですが、本体が一回り小さくなったことによりマイキングの自由度が高くなりました。sE Electronicのステレオバーは結構幅があるのでさほど困らないのですが、小さいステレオバーだとORTFやNOSの設定で困る時があります。

sE5を設置しているいつもの場所に設置してみます。HAも同じ機種を接続しチェックです。正確な値は忘れましたがHAのInput Zは1kオーム以上です。

出力インピーダンス110オームに対して入力インピーダンス1kオーム以上なので高域が綺麗に抜けてきます。耳に痛い感じではなく「伸びやか」と形容したくなる感じです。

sE5のレビューに「楽器の芯の部分をしっかり捉えることができている印象」と記載しましたが、sE8はさらにそれが進化しているように感じました。

Acoustic GuitarやPianoにも非常にマッチしそうです。

というわけでAcoustic Guitarの録音に使用してみました。

Vocal/Acoustic GuitaristがRock styleのBandの中にいるという感じなので純粋に「アコギの収録」というわけではありませんが、E.Gt,Ds,Bassと混ざったときにどれほどの存在感をキープできるのか楽しみなところです。

このバンドすべての曲にアコギがパートとして存在していて、いつもは高域が美しい真空管マイクを使用していたのですが、今回は曲の雰囲気が弾き語りに近い部分があり、アコギの音像を大きくとって、シンプルなフレーズをオブリガード的にE.Gtで入れよう、という感じになりました。

A.Gtを2回弾いてステレオにするか、というアイデアも出たのですが、それだとDual Monoになり、「アコギのステレオ音像」が欲しかったので今回はsE8をNOSに近いセッティングにし収録しました。

思惑は大成功で演奏家も「音が超気持ちいいよ!」と、ありがたいお言葉。ミックスはまだ先になりますが楽しみです。

またSNが非常に良い印象です。

ペンシルマイクの代名詞 AKG C451と比べても優れた数値をたたき出しています。ドラムのオーバーヘッドはともかくアコギの録音ではどうしてもHAをブーストする必要に迫られます。

その際にノイズが目立たないのはありがたいですし、音源がなんにせよS/Nなんて良いに越したことはありません。

黒く、目立ちづらいのでステージで使用も向いていると思います。

2017/12/15加筆

ノイズの低さとコンパクトなボディ、そしてその音質からアコギとクラシックギターの録音に使用してみましたが、演奏家にも非常に好印象でした。色々あってステレオ音像で録音することになり、やはりNOSに近いセッティングにしたのですが、これを演奏家の方が甚く気に入ってくださり採用となりました。

Afterwords

この価格でこの性能のマイク、ちょっと衝撃です。

少しあっさりしている印象ですが,インピーダンスのせいかもしれませんし,あまりにも芳醇な音だとMixingでソースが多いときに中域が飽和してしまいます。

僕がsE Electronicsのマイクが好きな理由は好みもあると思いますが,あとで無理矢理な処理をしなくてもよい,という良さがあります。

もちろん,Faderを上げればOKというわけではありませんが,豊かな中域で(それはそれで良いのですが)最終的に中域が飽和しがちになりEQでMiddle Rangeを抑えた,となってなナンノコッチャ,です。

淡白すぎず,いい仕事をしてくれるsE8,今後も僕のセッションで大きく役に立ってくれそうです。

sE electronics,sE8 PAIR 画像

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checker:Takumi Otani

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