Lynx Studio Technology
HILO

今回見ていくのは複合機、Lynx Studio Technology HILOです。AD/DAコンバータ、USBオーディオインターフェイス、Headphone Amp、モニタコントローラーが一体となったハードウェアです。

お客さんから「良いI/Fを探していてHILOを試してみたい」、とリクエストを受け、一緒に試させてもらいました。

AuroraシリーズというAD/DAコンバータ(最近ではADELE Skyfall(記事はこちら)で話題になりました。)をリリースしています。

そのLynxがリリースした(といっても時間がたちますが)新しいハードウェアです。早速見ていきましょう。

Product Overview of HILO

複合機とはいえ、最初価格を見た時には、「うーん結構するなぁ...」という印象です。Lynxの製品ので音質は問題ないだろうという予感はありましたが、「純粋なAD/DA+I/Fであればもう少し安くてもなぁ」という部分もありました。

とどいたデモ機をセットアップ中にManualを見ていくと「これはむしろ安いのでは?」と思うようになりました。もちろん絶対額は高いのですが、

をある程度のクオリティでそろえるとこの価格では難しいのではないかと思います。

Manualに記載されているSpecを記載します。

Line input AD Converter[Line L/R in]

全高調波歪み
-114dB(@1kHz、-1dBFS、20kHzフィルター)
ダイナミックレンジ
121dB(A-weighted、-60dBFSシグナルメソッド)
周波数特性
± 0.01 dB、20 - 20kHz
クロストーク
最大 -140dB(@1kHz、-1dBFS 信号)
Connector
XLR メス x2
トリム切り替え
8段階(+24dBu/+22dBu-+20dBu/+18dBu/+6dBV/+4dBV/+2dBV/+0dBV)

Line output DA Converter[Line L/R out]

全高調波歪み
-109dB(@1kHz、-1dBFS、20kHzフィルター)
ダイナミックレンジ
121dB(A-weighted、-60dBFSシグナルメソッド)
周波数特性
± 0.02 dB、20 - 20kHz
クロストーク
最大 -135dB(@1kHz、-1dBFS 信号)
Connector
XLR オスx2
トリム切り替え
8段階(+24dBu/+22dBu-+20dBu/+18dBu/+6dBV/+4dBV/+2dBV/+0dBV)

[Monitor out L/R]

全高調波歪み
-107dB(@1kHz、-1dBFS、20kHzフィルター)
ダイナミックレンジ
121dB(A-weighted、-60dBFSシグナルメソッド)
周波数特性
± 0.02 dB、20 - 20kHz
クロストーク
最大 -135dB(@1kHz、-1dBFS 信号)
出力最大レベル
+24dBu/+10dBu (ジャンパー切り替え)
Connector
1/4" TRS x2

[Headphone output]

全高調波歪み
-107dB(@1kHz、-1dBFS、20kHzフィルター)
ダイナミックレンジ
121dB(A-weighted、-60dBFSシグナルメソッド)
周波数特性
± 0.02 dB、20 - 20kHz
クロストーク
最大 -130dB(@1kHz、-1dBFS 信号)
出力最大レベル
+19dBu
Connector
1/4" TRS x1

Digital I/O

AES/EBU
XLR Male x1 /Female x1 (quad speed)
S/P DIF Coaxcial
RCA jack x2
S/P DIF Optical
TOS link x2 (ADAT I/Oと兼用)
ADAT
TOS link x2(S/P DIF opticalと兼用)
Wordclock
75 Ω BNC x2
USB
Bコネクター

その他

電源
100-230V/30W
タッチスクリーンLCDインターフェース
480×272ピクセル
Sampling Rate
44.1/48/88.2/96/176.4/192kHz
Clock
Internal/Word Clock/Word Clock x2/Word Clock x4/Digital In/LT-USB

Specには記載できないのですがほかにも特徴を記載しておきます。

32x32マトリクスミキサー搭載

これはI/Fとして非常にありがたい機能ですね。

32の内訳ですがInput=USB:16(clock=96kHz以下)+Line in:2+ADAT:8+AES/EBU:2+S/P DIF coax:2+S/P DIF opt:2=32。(Digitalは同時選択は不可能)

output=Line out:2+Monitor out:2+Headphone out:2+AES/EBU:2+S/P DIF coax:2+S/P DIF opt:2 + ADAT:8+ USB:16=34です(海外メーカーの場合HeadphoneをアウトプットCHに数えない場合が多いので32chミキサーという表現になっているものと思います。)。

I/Fのコントロールソフトでマトリクスミキサーを搭載しているものが少なくありませんがそれが本体内部に標準搭載されています。

タッチスクリーンLCDインターフェース

タッチスクリーンですべてのコントロールがここで行えます。

メーターもVUメーター(0VU= -24 ~ -3dBFSの範囲でキャリブレーション可能,1dB step)、Peak Meter、I/O Peak meterと用途に合わせて選択可能です。VUの反応速度ですが、PluginのVUと同じくらいでしょうか。アナログ実機と比べると少し早く感じるかもしれません。

Oscillator

上記34outputにそれぞれアサイン可能なオシレーターを搭載しています。レベルもコントロールも0.5dB Stepで可能です。親切な機能だな,と感じたのが,OSCを一旦OFFにするとONにした時に-40dBから出力されるという部分でしょうか。うかつにONにした時に機材と鼓膜が悲鳴をあげなくてすみます。

Driver

DirverですがWindowsの場合にのみ必要です(Lynx Download)。今回はApple MacProで試したのですがMac OSでは標準オーディオドライバーCoreAudioで作動します。

Sound Impression of HILO

さて長々機能を紹介してきましたが音に行きましょう。

前述のとおり複合機ですのですべての機能を評価する時間がありませんでした。今回のチェックは「DAコンバーター、I/Fとしてどうなのか」という観点からのチェックです。

お客さん(そうですね"Yさん"としておきましょう)と約束のデモの時間のしばらく前にAnnex C/Rに持ち込んでセットアップです。接続を確立させ簡単なチェックを済ませたころベストなタイミングでスタッフが「Y様、お見えです。」と呼びにきました。

実は先日、YさんとT社の2track Recorderを一緒に試したのですが、その製品はいまいちで、何のとかいい音が出ないものかとClockを変更したり、サンプリングレートを変更したりしてやっと「うん、まぁ、これならいいかもですねー」という状態を作れたのですが、価格を考えるとこれは無いな、という2人の共通見解に。

今回は前回使用したReference Sourceを再生して「イヤー文句無いすね!」と明るいお言葉をいただきました。いきなりゴール!、見たいな感じです。僕も「いい音だなぁ」と感じていたので今回も見解一致です。

このときの設定はClock=44.1kHz,Hilo INT clockです。Line OutからYAMAHA DM2000の2TR A1に入力しました。

中低域が芳醇で、高域も存在感があり高解像度、左右の広がり、奥行きにゆとりがあり、そこそこマキシマイズされたソースでもきちんと空間が見えてきます。周波数に欠落が無い印象です。LeftとCenter,RightとCenterの中間定位もきちんと表現します。
ドンシャリとか、そういった類ではありません。「音楽」がきちんと再生されている、というとよさが伝わりますでしょうか。

音楽を聴くなら是非、こういう音で聴きたいものだなぁと感じる音質、クオリティです。Ref SourceにはPianoの曲もあったのですが、曲中のpedaling noiseもきちんと聞こえてきます。前回のT社のレコーダーで再生したときには聞こえなかった音です。

YさんはLynx Auroraシリーズをお持ちですが、それよりも良い音だ、と。高いポテンシャルを感じたようです。もちろん価格やch数、リリース時期などを考慮するとHILOに軍配が上がるのは仕方ないのかもしれませんが、それ以上の可能性を感じました。「この分だとADもよいだろう」と半ば勝手に信用(苦笑)しその他の機能チェックに移っていきました。

次のチェックはHILOのMinitor Outを試すというものです。C/Rのモニター ADAM A7への結線を変更します。モニターのVolなどは変更なし、純粋に結線変更です。

さて、どうなるか...。当たり前といえば当たり前ですが解像度はさらに上がり、美しい音像が広がります。Line outとMonitor outを持っている製品ならではのアドバンテージですね。

Mixingの際のI/Fとして使用したときにはHILOのLine Out-> Master Recorder, Monitor out-> Monitor Speakerというイメージでしょうか。DIMが無いのでちょっと...、という部分もあるかと思いますが、FirmのUpで対応してくれるかもしれません(是非追加してほしいです)。MONOはあります(正確にはMonitor outputがモノに鳴るのではなく,Inputをモノにする感じです)。DAWからの出力も8ch=4stereoを出力可能ですので、USB1+2=Main Mix, USB3+4= Reference MIXなどと割り当てておく、というのも有効な使用方法でしょう。

Ref MIXをMain Mix BusにアサインするとTotal CompressorやMaximizerの影響を受けるので僕は分離しています。

ProTools+CoreAudioでは、複数のI/Fを一まとめに出来る機能(Pro Tools 機器セット/Pro Tools Aggregate Device)がありますが、ダイレクトにI/Fをセレクトすることに比べて音が変わるとかかわらないとか...

マトリクスミキサーを持つI/Fならではのメリットですね。

最後に行ったのはClockの変更を行うとどうなるか、というチェックです。

USBケーブルを抜かないとClock Souceなどを変更できないので少し不便です。まぁ今回のようなチェックを除いて30分ばかりの間にClockやClock Sourceを頻繁に切り替えることも少ないでしょうからさほど気にならないのかもしれません。

今回Clock Sourceとして採用したのはAntelope Audio Isochrone OCXです。Annex C/Rにほぼ常設機材されており、その傾向を把握しています。

まずSyncroLock1をONの状態でOCXからのEXT Clockに切り替えてみます。しばらくの間Workingが続き、Lockedに落ち着きました。Rengeじゃ無くてよかったです2

高解像度な状態は確保されている印象ですが、整理されているというかややつまらなくなったというか...。最初のような感動がありません。今までクロックをOCXに切り替えて悪くなったのは初めてだったのでちょっと戸惑いました。するとLynx Auroraをご利用いただいているYさんから「良質なクロックを供給しているときにはSynchroLockはずしたほうが良い結果になることが多いんですよ。」とコメントを。

なるほど、それでは早速、と解除してみてのチェックです。

さすがに使いこなしているだけのことはありますね。先ほどより好印象で確かにHILOの芳醇な中域+OCX Clockingによる整理された音質とに落ち着きました。

HILO(INT)とHILO+OCXでは好みが分かれそうですが、僕なりの表現だと

純粋に音楽を聴くときにはHILO(INT)、仕事で使用する時にはHILO+OCX

という感じです。

聴いていて楽しい音と正確な音、と表現してもよいかもしれません(正直HILO(INT)で充分なMIXは作れると思います)。

HILOの可能性と機能、そしてその音質(←一番重要)に感動を覚えつつチェックは終了です。

Afterwords

目的を絞ったチェックでしたのですべての機能を網羅できていないのが心苦しくもあるのですが、HILOの魅力、ポテンシャルが少しでも伝わればと思います。

PCオーディオを楽しむ方から、自宅Mixing環境によいI/F、Monitor Controllerを探している方、宅録からゲームまでPCをコアにしたシステムにちょうどよいIFを探している方まで幅広くオススメできる製品です。


1:Lynx Studio Twchnology社の独自開発の技術でジッター軽減に非常に効果的な技術。

2:外部から供給されたクロックがSynchroLockの許容外であることを示す状態。粗悪なクロックだとこの状態になることがある。

Lynx Studio Technology,HILO 画像

date:
checker:Takumi Otani

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