iFi-Audio
iPurifier DC

さて,今回もアクセサリー物,といって良いと思います。以前iFi-AudioのiPurifier 2を取り上げましたが,今回はそれと同種のアイテムです。

ACアダプターを使用している多くの方,特にギタリスト/ベーシストになるかと思いますが,Providence PAP-509DCJといったアイテムもあり,ACをいかに綺麗なDCに変換するかで音は変わってくるのでしょう。電池最強説もありますが,換え時が悩ましいですし,数が増えてくればコストも馬鹿になりません。

高価なACアダプターもありますが,iPurifier DCは先端に装着するだけです。さっそく見ていきましょう。

Product Overview of iPurifier DC

実は以前iPurifier 2を試した際に一緒にお借りすることができました(S沼さんいつもありがとうございます)。ただ,手持ちの機材にACアダプターを使用する機材がなく,同僚のギタリストに「これ試してみない?」と印象を聞いてみました。それは後述するとして,スペックです。

見た目はiPurifier 2と似ています。5-24V,3500mA(84W!!)まで対応可能です。楽器関連ですとやはり9V-18Vくらいが多いので余裕ですね。形状の異なるコネクターにも対応すべく変換も同梱されています。

極性はCenterが"+"になっており,センターマイナスに使用するには変換が必要です。パッシブフィルター物であれば逆に接続しても動くと思いますが,これはそうは行きません。極性が逆の場合LEDで警告が出ます。

ノイズ除去に使われているテクノロジーはiPurifier 2と同様のActive Noise Cancellation®(ノイズ信号と同一の信号を正反対の位相で発生させることによって、あらゆるノイズを能動的にキャンセルする技術)です。

また,1Hz ... 5GHzに有効な超広帯域設計ですので,可聴領域の遥か上の帯域のノイズも除去してくれます。オシロスコープで確認したわけではありませんが,DCに限りなく近い,と言っても良いでしょう。
これだけの広帯域に効いてくれるのは非常にありがたいです。AC電源のノイズは数MHzあたりまでらしいのでかなりクリーン状態を作り出すことが可能です。

AC電源の汚染に関しては電源環境の悪化と汚染とはを参照いただくとして,ACアダプターもその名の通りACをDCに変換しているのですが,理想的なDCというのはなかなか生成しづらいのが正直なところです。DCとされていてもすこし波打っていたり(=脈流)しています。また,ACに乗ってしまったノイズの影響をACアダプターで0にするのは難しいでしょう。弊社録音スタジオでは KOJO TECHNOLOGY Aray6 MKIIをControl Roomに導入して電源をクリーンにしています。この時の経験から電源にノイズが乗ると良いことは無いのは知っているのですが,じゃぁ,コンパクト・エフェクターのためにAray6 MKIIを買ってください,とも言えないのが正直なところです。加えて、Aray6 MKIIを通してもACアダプターによっては脈流しか生成できないものもあります。

さらに,電源のノイズで厄介なのが,多少のノイズが乗っていても機材は動くという現実です。電源が正常な状態では無い(程度問題あると思いますが)ので音のハリ,ヌケ,ツヤが欠如します。

これをなんとかしようとしてEQやCompなどを使う場合もあるわけですが,全てに汚染されたで電源が供給されているので根本的な解決にはなりません。

ちょっと極端な書き方をしましたが,Aray6 MKIIやiPurifier 2で改善した経験を持つ僕としては,今回iPurifier DCにかなりの期待を寄せています。

Sound Impression of iPurifier DC

さて,まず自宅で試してくれた同僚の体験ですが,「ノイズが減って非常に好印象だ。」とのことです。

一般家屋なのであまり特殊な環境ではありません。商用電源なので程よく(?)汚染されているでしょう。あまり大きな音量は出せなかったそうですが,それでもノイズの低下,音質の向上を実感できたとのこと。

さて,他人の意見でレビューを書くわけには行きませんので職場で他のエフェクターでも試してみました。

電源の改善はアナログに効きそうという勝手な先入観の基,まず,ブースター/オーバードライブに試してみました。

センターマイナス仕様の環境なので極性変換を挟んでのチェックになりますが,純粋にiPurifier DCの効果を確認したかったので通常電源時にも極性変換を2個繋いで試しました。

軽く歪ませて,ジャカジャカ弾いて,iPurifier DCを入れてみます。「お,マジか!」思わず言葉が出るくらい変わりました。音にコシが出て音量が大きくなります。周りに居たスタッフも「え,なになに?今の?」みたいな感じで近寄ってきます。

誤解を招く表現かも知れませんが,iPurifier DCを通した時の音はMixやマスタリングが終わったあとのような感じです。またはアンプのクオリティが1,2ランク上がったような感じです。117V駆動のアンプをきちんと117Vで駆動させた時の感動にも似ています。

ペダルをディストーションに変えて試してみました。iPurifier DCを挟んだ瞬間,歪の質が向上し,やはり音量が上がります。

次はデジタルリバーブです。すこし変化がわかりにくかったですが,外した状態だとリバーブテイルがベシャっとする感じと言うんでしょうか。iPurifier DCがあったほうが上品な響きです。

最後にディレイを試してみましたが,ディレイのリピートが1回分位多く聞こえます。

別のタイミングでRecording時にBassのエフェクターに試してみました。音が引き締まり,タイトな音になります。かと言って低域がなくなるわけではありません。再度になりますが,きちんと処理されたような音です。外してみると,中低域がだぶつきベシャッとします。

以上を総合しての印象ですが,きちんとした電源を供給してやらないと機材はその本領は発揮できないんだな,と改めて感じました。DCケーブルを分岐する大元に噛ませれば全てにCleanなDCが供給できます。

以前レビューしたiPurifier 2ももっと一般の環境で試すことができれば違いは大きかったのでしょう。ちょっと後悔です。

前述のとおり,非常に広帯域にわたってノイズを除去してくれますのでI/Fなどのデジタル物にも非常に有効だと思います。

Afterwords

PCやHDD等にも有効でしょう。やはり安定した電源の供給は安定した作動をもたらしてくれます。録音/再生においてPCとHDDの安定稼働は前提条件です。良い音云々の前に,「まず録音できる事」が大事ですが,iPurifier DCによって安定してかつ良い(=機材の性能を引き出した)音で録音/再生が可能です。

こういったアクセサリーはシステムの更新があってもどこかで使えるものが多いです。ぜひとも一度試してみてください。

iFi-Audio,iPurifier DC 画像

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