Nittobo Acoustic Engineering (NAE)
ANKH-III (アンクミニ)

森林の環境の再現がコンセプトの柱状拡散体 Acoustic Grove System シリーズですが,森林というのは上部は枝になっており細い木材が縦というよりは斜め/横に伸びています。

この素朴な質問を日東紡の山下さんにしたところ,「まさしくその枝を再現するべく開発したのがANKH-III」。という,待ってましたと言わんばかりの回答を頂きました。

ただ,高いところでなくても効果があるとのこと。重量もさほどありませんし,ちょっと動かすには良いと思います。

早速見て行きましょう!

Product Overview of ANKH-III (アンクミニ)

前述のとおり森林樹木の枝をコンセプトに設計されている通りSYLNANよりも細い直径の木材が多く使用されています。

スペックです。

サイズ
約66W x 11D x 30Hcm
重量
約2.5kg

です。SYLVANやANKH-I/IIが主に固定設置して使用するのに対し,ANKH-IIIは軽いので簡単に移動可能です。

Sound Impression of ANKH-III (アンクミニ)

いろいろ場所や対象(楽器/スピーカー)を変えて試してみました。

ANNEX Control Room

スピーカーの間が効きそうだなぁ,という根拠の無い直感のもとConsoleのmeterの上,モニタースピーカーの間に設置してみました。ちょうどモニタの間くらいです。

Engineer seatの前後の音質差が無くなり,定位がわかりやすくなりました。解像度(特に高域の)も向上し,音量をさほど上げることなく全体像が把握できます。

録音のクライアントはやや不思議な表情でしたが...。

一般家屋

SYLVANと同時期に導入したANKH-IIIですが,ちょっと拝借して(嘘です。ちゃんと関係者の許可はとってあります)自宅に持ち込んで試してみました。エンジニアらしく(?)ちょっとしたMixingなどが可能な環境を構築してあるのですが場所による低域のたまり方が前からちょっと気になっていたのです。

特に吸音処理などをしている部屋ではありませんから一般家屋にANKH-IIIを持ち込むとどうなるか,というチェックに近いと思います。

あえて言うのであればKRYNA Azteca AZM-Wが設置してある,というくらいでしょうか。

本当はSYLVANも試したかったのですが,結構大きいので...。

さて,自宅システムではANKH-IIIをモニタースピーカーの間のやや奥においてみようと思っていました。ただ,現状のセッティングだとそれができないのでDisplayの高さを変更しその上にANKH-IIIを設置しようかと画策,するとあら不思議,それだけで低域の問題はほぼ解決してしまいました。うーん,奥が深いと思い,Ref Sourceでチェックしているとなんだかイマイチすっきりしない感じがします。どうやら別の問題が出てきたようでじっくり検証してみました。

いろいろ調べてみると404Hzの定在波の存在が確認できました。部屋の縦方向で発生しているようで,Displayに向かってゆっくり頭を前後すると見事にDipの部分を通過するのがわかります。たちの悪いことにちょうどLestening Positionがその部分にあたります。またPeakの部分に当たると指向性が失われるクラ前方向から音が聞こえます。

いやーここまで分かりやすい定在波久しぶりに聞きました(汗)。当たり前ですがPeakとDipで10dB以上差があります。中域といわれるこの辺りに地雷があるのは避けたいので,ANKH-IIIで対策してみることにしました。おそらくスピーカーの向かいの壁の前にSILVANを2本設置すれば解消すると思いますが,広い部屋でも無いのでちょっと却下です。

取り敢えず高さはモニターの高さに合わせて当初の予定の場所に設置してみました。奥行を変えたりしてみたのですが,残念なことに多少は和らいだのですが劇的な改善とはなりませんでした。有力な可能性としては定在波の波長(=およそ0.841m)に対してANKH-IIIが小さすぎたのかもしれません。おそらくSILVAであれば効果があったのでしょう。

向かいの壁に引っ掛けてみようかと思ったのですが,石膏ボードなので不安が残ります。今回この定在波にANKH-IIIで対策するのは諦めました。

後日別の方法で定在波の存在を打ち消すことに成功しました。改めてANKH-IIIをmonitorの間に設置し音楽でのチェックを行ってみました。

いやー,効きます。中高域のきらびやかさが増し,音楽に躍動感が出てきます。中央に置いただけですが,左右の定位も改善され奥行きが増し雄大な音空間が広がります。壁が遠くなったような効果です。一緒に調整を手伝ってくれたtyk君も驚きの表情です。

Left-CenterやReighr-Centerの中間定位の存在もわかりやすくなりました。

Acoustic Pf

SYLVANのレヴューの時に一緒に試してみました。譜面台のところに上向きにおいてみました。高域に広がりが出て音全体が明るくなった感じに変わります。

この時には試せませんでしたが,蓋からの反射音が当たる壁に引っ掛けるというのも良い効果をもたらしそうです。

Acoustic Drums

これもSYLVANのレヴューの時に一緒に試したのですが,シンバルの真上の天井に簡易的に取り付けてみました。

シンバルの高域のキメが細かくなり解像度が高く鳴りました。高価なシリーズのシンバルに変わったような印象です。

このへんの印象はKRYNA Azteca AZM-WのReviewの時の印象に近いものがあります。

SYLVANの効きが悪いのではなく,シンバルは音が左右ではなく上下に飛んで行くので設置するなら上下のどちらかです。となると天井になるのは自然な結果です。


落下防止対策がきちんとできればやや高めのポジションも効果がありそうです。

Afterwords

主に中高域の効果を感じるANKH-IIIですが,アコギや,管楽器にも効果が有ると思います。

興味の有る方お気軽にお問い合わせください。

Nittobo Acoustic Engineering (NAE),ANKH-III (アンクミニ) 画像

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