Solid State Logic (SSL)
XR621 X-Rack Mic Amp Module

さて、前回X-Rack Chasisのレビューを行いましたが今回はモジュールです。

XR621 Mic Amp Module,いわゆるHAですね。早速見ていきましょう。

Product Overview of XR621 X-Rack Mic Amp Module

簡単なSpecから参りましょうか。Chasisにマウントすることになるのでサイズはあまり重要ではないでしょう。音響特性と参りましょう。

Mic Input

Input Z
1.2kΩ - 10kΩ(連続可変)
Gain
+12dB ... +75dB
Attenuation
20dB
Output Headroom
> +26dBu
THD + Noise
< 0.003% @ 1kHz, < 0.006% @ 10kHz
周波数特性
+0.05dB/-0.1dB from 20Hz ... 20kHz,–3dB at 150kHz
Equivalent Input Noise
<–127dB at maximum gain

Line Input

Gain
–20dB ... +20dB
Input Z
> 10kΩ
THD + Noise
< 0.005% from 20Hz ... 20kHz
周波数特性
±0.1dB from 20Hz ... 20kHz,–3dB at 150kHz

Instrument Input

Gain
+12dB ... +75dB(連続可変)
Attenuation
18dB
Input Z
1MΩ
Output Headroom
> +26dBu

嬉しいのはFilterを搭載している部分ですね。

LPF
50kHz ... 3kHz (–3dB point), 12dB/Oct.
HPF
30Hz ... 600Hz (–3dB point), 18dB/Oct.

独立にON/OFFできるのも嬉しいところです。

XLogic sereisということもあり、Superanalogue ChannelのHAの特性と似ています。参考までに掲載します。

Mic Input of XLogic Channel

Input Z
1.5kΩ/ 8.45kΩ
Gain
+6dB ... +72dB in 6dB Steps
Attenuation
18dB
Output Headroom
> +26dBu
THD + Noise
< 0.003% @ 1kHz, < 0.005% @ 10kHz
周波数特性
+0.05dB/-0.1dB from 20Hz ... 20kHz,–3dB at 200kHz
Equivalent Input Noise
<–127dB at maximum gain

Instrument Input of XLogic Channel

Gain
+12dB ... +75dB(連続可変)
Attenuation
18dB
Input Z
1MΩ
Output Headroom
> +26dBu

スペックに大きな差は見当たりません。

Sound Impression of XR621 X-Rack Mic Amp Module

実際の音に参りましょうか。

まずナレーション録りの現場にて試してみました。ぱぱっとレベルを取り簡単なリハの後、録音開始です。

マイクとの相性もあると思いますが非常にニュートラルでしなやかな印象の音質です。XLogic Channelもそうですが、癖は少なめなタイプのHAでしょう。

マイクの音がそのまま出てきている、という印象に近いです。

HPFもHAではモジュールに搭載されているのでSub Lowで信号でmeterが不用意に振れるようなこともありません。

他の録音でも使用してみました。1台だけなのでなかなか悩ましいですが、SnareのBottomに使用してみました。TopはSSL E-Signature Channelです。Input-Zが連続可変できるので試してみました。当たり前ですが、高くすると音がスッキリし明るくなっていきます。IMPボタンを押すとレベルが上がりますのでご注意ください。
HPFも搭載されているので下処理、という部分はXR621で結構完結する印象です。EQが搭載されているわけではありませんが、周波数のバランスはマイキングである程度追い込むことが可能なので、特に問題ないように思いますし、SSLクオリティHAで録音しておけば後でプラグインで処理するときにも楽だと思います(XLogic Superanalogue Channelで実感しています)。

さて、XLogicシリーズということでSpecを比較したわけですから、X-Logic Superanalogue ChannelのHAと比較してみました。比較といってもマイクの回線をパラって、という厳密な比較ではありません。ご了承ください。

いつもX-Logic Superanalogue Channel使っている回線にXR621を使用してみました。先ほどの通り印象ベースの比較となりますが、まず、大きな印象は変わらない、というものです。同時期に開発された同じようなSpecを持つ製品ですがらある意味当然かもしれません。

X-Logic Superanalogue ChannelにはEQ/Dynが搭載されていますのでもちろんそのメリットがあります。とはいえ、XR621には連続可変のInput Zがありますし、Filterも搭載していますから、下処理という意味では十分な印象です。Fs可変なHPFを搭載しているのは僕にとって大きなメリットで、レコーダー(=ADC,DAW)の解像度が高いにも関わらず、ラージが毎回使用できるとは限らない今日の録音では低域の処理は非常に重要です。低域は切っておけば良い、というものではありませんが、不要な低域でMixingの際にPlug-inの挙動がおかしい、ということが回避できます。

僕はHAの基本機能は

だと思っていますが、ここにFs可変なHPFを搭載しているのは非常にありがたいです。さらにfilterが個別にIn/Outできるのが嬉しいですね。

Afterwords

癖の少ない高級HAは複数台あると色々役に立ちそうです。僕は録音時にアナログ段で基本的な音作りをすることがほとんどなのすが、録音時に音を作るにせよ、プラグインで音を作るにせよ、マイクの信号をしっかりキャプチャーしてくれるHAは非常に役に立つでしょう。

また欲しい物が増えてきました。

先日のX-Rackのレビューにも記載しましたがモジュールを入れ替えることで色々な用途に使用可能なモジュールシステムは、X-Rackに限らず便利で楽しいですね。

良質なHAをお探しの方、ぜひとも選択肢に入れてください。

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