Lynx Studio Technology
AURORA(n)

2018年,なかなかのハイペースでレヴューが更新されていますね。自分でも驚きです。予定では2週間に1レヴューくらいがイイかなと思っているのですが,なかなかそうも行きません。2014,2015,2017はちょっと少なかったですね。2018年 26レヴュー目指して頑張っていきます。さて,今回見ていくのはHiloでレビューにも登場したLynx Studio Technologyの次世代コンバーターAURORA(n)シリーズです。

様々な接続に対応し,発表時には海外でもかなり話題になった印象の製品です。

今回もn美さんのご好意でデモ機をお借りすることが出来ました(いつもありがとうございます!)。早速見ていきたいと思います。

Product overview of AURORA(n)

AURORA(n)シリーズにはEIAラック 1Uサイズで 本日現在14機種がラインナップされています。接続方式は

の4種類が用意されています。ただ,上記の通りUSBは8chと16chモデルのみの対応(192kHz時には8ch)で残りの3つの規格は24,32chもサポートします。全機種24bit/192kHzまでサポートします。

1Uサイズで32chまでサポートしてくれるのはありがたいですね。アナログ入出力のコネクターはDB25です。

OSはWindows/macOSに 完全対応しており,iOSもサポートしています。ドライバーはLynx Studio Technology本国サイトからDownload可能です。

AURORA(n)は共通のシャーシにL slotと呼ばれるI/O関係のボードを搭載することにより必要に応じて接続方式を変更することが可能です。

また,本年2018年に

がリリース予定で,現在お持ちのシステムにより柔軟に組み込むことが可能になりそうです。現時点ではラインレベルインターフェイスということになりますが,HAモジュールモジュールがリリースされる事により,マイクを直接接続できるインターフェイスとしても使用可能になります。Digital I/Oのリリースはありがたいですね。前シリーズのAURORAと並んでInterface機能とAD/DA/DD機能を併せ持つ製品に拡張が可能ということです(PCと接続可能なAD/DA/DDがインターフェイスといえるのでちょっと表現に重複がありますが)。

Digital I/Oに関しましては執筆現在情報がありませんので予想の域を脱しませんが,AES/EBUには対応してくれるでしょう。あとはADATでしょうか。意外とMADI Optも対応してくれるかもしれません。

さて,幾つかテクノロジーの部分を紹介しておきましょう。

Hilo Converter Technology (HCT)

代理店サイトからの一部引用ですが,

Aurora(n) には Hilo の開発を経て手にすることのできた設計と技術が惜しみなく投入されています。プロ・オーディオのみならず、ハイファイ・オーディオの分野でも人気の Hilo のような驚異のパフォーマンスへ達しながら、前モデルを遥かに凌駕する優れた仕様と透明性を実現しています。
とのこと,あのHiloの音質(と言うとちょっと語弊があると思いますが)がマルチチャンネルで得られると思うと嬉しくなります。

Disctate Converter Design

また,

各チャンネルのアナログ信号経路を独立してシールドされた回路として設計しています - つまり、各チャンネルペアに専用のコンバーターが用いられているのです。この設計は、ダイナミックレンジとパフォーマンスを向上させながらクロストークと歪みを大幅に低減する等、オーディオに関わる多くのアドバンテージをもたらします。
とのこと。この表現の解釈ですが取りようによっては,ハイグレードの2ch AD/DAコンバータがAURORA(n) 32なら16台。AURORA(n) 24なら12台,AURORA(n) 16なら8台,AURORA(n) 8なら4台あるのと同じ,ということかもしれません。そう考えたらAURORA(n) は絶対額は高価ですが,機能,性能を考えたら安い部類に入ると言ってもっても過言ではないかもしれません。
コストダウンとクオリティはなかなか相容れない関係にあると思いますが,妥協せずに高音質を目指す姿勢には頭が下がります。

順番が前後しましたがパネルレイアウトに参りましょう。Front panel向かって左側にはSDカード録音,再生系のコントロールが,並び中央にディスプレイがあります。その左に[Function][Select][Phones Source][Meter/Exit]とボタンが並び,ダイアル,Headohone 1/2,SDカードスロットとなっています。Headphoneのソースは共通です。

I/Oのメーターは中央のディスプレイに表示されInput/Output共に表示されます。反応速度もいい感じです。マルチチャンネルでの表示も可能ですし,セレクトしたStereo In/Outを拡大表示させることも可能です。Level Over(=Clip)の際にはそのサンプル数が表示されます。

基本的にディスプレイの左側には作動クロックとクロックソースが表示されています。

ファームアップなどで変更の可能性があるのでFunctionの詳細は記載しませんが,Clockの設定,メーターソースの選択など一通りの機能は並んでいます。

Oscillatorも搭載しておりアナログ機器との連携も心配ありません。

Sound Impression of AURORA(n)

さて,今回はAURORA(n) 16 - USBをお借りすることが出来ました。USBで24ch対応していればそちらが良かったのですが,弊社録音の通常のセッションで16ch以上を同時に必要とされることはまずないのでまあ良いかな,と。USB接続に関してはMacはDriver Free(CoreAudioがドライバーとして機能する)というのも手軽でいいかな,と思った次第です。あとMacのOSの関係もあります。

さて,届いたデモ機を無謀にも(?)いきなりレコーディングセッションで使用する,という暴挙にでました(もちろん事前に作動のチェックは行っています)。

通常使用しているAD/DAコンバーターもDB25で接続されているので入れ替えは簡単です。

一旦は外部からのClock供給は行いませんでした。単体機での底力を確認したかったのとHiloと同じく優秀なClocking technologyを搭載しているだろう,との判断のもとです。

電源は117VAC 60Hz,設置場所との兼ね合いで届かなかったのでUSBケーブルは付属のものでは無く,NUMERO 4255を使用しました。

事前のセッティングですが、USBで接続してAudio MIDI settingsを起動するとあっさり認識されています。OSのマッチングなどの落とし穴があるかな、と構えていたのですが肩透かしを喰らいました。Input/Outputともに8chしか認識されておらずClock=Internal,192kHzになっています。ああ、なるほどと思い本体で設定変更です。I/Oの数が16に変わり、96kHzで認識されました。めでたしめでたしです。本体中央のディスプレイにClock周波数とClock Sourceが大きく表示されますのですぐに確認ができる親切設計です。

DAW側でI/Oの設定を完了させDAWのオシレータで確認です。AURORA(n)のI/Oメーターときちんと対応していることを確認していきましたがミキサー側(Analogで接続)で確認できる信号とできない信号が、「お、なんだなんだ、トラブルか?」とある意味うきうきしながら設定/接続を確認するとDB25の挿し間違えでした...。Cue Systemも正常にアサインされていることをチェックし、無事「I/Oの違い以外はほとんど同じ」という環境を構築完了です。

Dante,Thunderbolt,DigiLinkの場合にはDriverのインストールが必要ですが、作業的にはさほど大きな差がなく入れ替え/導入が可能だと思います。台数にもよりますがそこまで大掛かりにはならないと思います。DB25の挿し間違えがなければさらにすんなり行くでしょう...。

Recording session

さて、録音のときの感想に移ります。

1つは録音は篠笛とピアノの録音でした。ピアノは残念ながら電子ピアノです。

もう一つはいわゆるRock BandのRecording sessionです。Ds,Ba,Gt, Vocalの編成です。

総合しての印象ですがしなやかな音質かつ高解像度で非常に扱い易い音質です。Overdubbing sessionが進みtrackが増えていっても音が滲むことも無く,ストレスを感じることもありません。後日別のDAでMixingとなりましたが何の違和感も無くMixing出来ました。録り音って大事だな,と改めて認識しました。

Recording session中はPC Mixを聞いている状態ですが,何ら不満はありません。

USBでの接続ですのでPro Toolsの「システムディレイ」はMADI接続の状態より大きくなりましたがこればっかりは仕方ありません。DigiLinkなどで使用すれば小さな値になるでしょう。

Mixing

さて,Mixing sessionで使用しようかと思ったのですが,デモ機の返却後に「もう一度やり直したい...」となると怖かったので完了しているセッションを立ち上げてAD/DAをAURORA(n)に入れ替えてMaster Recorderに録音し聴き比べてみました。

default AD/DAの接続方式はMADI,ここでDAされた信号がサミングミキサーを通ってマスターレコーダーに行きます。

USBとMADIの音質差はどうなんだ,という意見もあるかもしれませんが,そのへんはご容赦ください。

ここでもMaster Clockを変更したりもしてみました。

FullScaleの出力に差がありますので再度ProToolsにインポートしレベル補正を行ったあと試聴です。

せっかくなので96kHzのセッションと44.1kHzのセッション両方聴き比べてみました。

Signal FlowとしてはとしてはAvid Pro Tools->AURORA(n)->サミングミキサー->Master Recorderです。

内部でミックスして2mixのみをモニターするよりはわかりやすいかな,との判断です。わかりやすい、という差ではないくらいの違いが出ました。

流石にここでその両データーを公開はできないのですが,印象でお伝えすると全体的にくっきりして細部まで見えてくる感じです。派手というとちょっと違う感じですね。エッジ感と低域の伸びが素晴らしいです。

ここまで音が違うと単純に入れ替えてしまうと大事です。Mixing時の処理がDefaultのAD/DAに最適化されていますのでこの違いは仕方ありません。

生楽器が多く使われたセッションのほうが違いは明確になりました。

比較の対象がAvid HD I/Oのほうが参考になったかもしれませんがご容赦ください。

今回は外部からClock(Antelope Audio 10MX+OCX)を供給したほうが印象は良かったです。AURORA(n)のエッジ感とAntelope特有の奥行き感がいい感じにマッチしました。

Comparison of AURORA(n) & AURORA

また別のタイミングでAURORAをお持ちの方にご協力いただき、AURORA(n)との比較を行いまいした。

テクノロジーなので後発のほうが有利なのは当たり前ですが,AURORAとくらべてAURORA(n)は,奥行き,広がりが改善され優雅な音になります。Left/Center,Center/Rightの中間定位が格段に見えやすくなります。

AURORAの音質はスタジオの定番と言っても差し支えのないレベルだと思いますが,悲しいかな後継機種と比べると聴き劣りしてしまいます。

一緒に弊社スタジオのAD/DAとも聴き比べを行ったのですが,やはり残念な感じに。価格と開発時期が違うからとお互いに現在の環境を慰めると同時にAURORA(n)のクオリティを再認識しました。今回ご協力頂いたYさんは同社Hiloもご愛用頂いておりますが,AURORA(n)の音質をきいて「Hiloを買う必要は無かったのか...?」と若干複雑な面持ちでした。

Afterwords

総合しての印象ですが、しなやかでアメリカらしくない音と言う表現になりますでしょうか。けなしているように聞こえますがそんなことはありません。むしろ褒めています。ヨーロピアンと言うわけでもありません。オーバーな表現ですが、今まで聞いたことのない音と言っても良いかもしれません。最終的には好みが大きく影響する部分ですが、非常に好感が持てる音です。

色々試すことが出来たところからの印象ですが,ADは比較的フラットでニュートラルな印象です。DAとは若干色付けがある印象ですが,この匙加減が絶妙というかPC Mixの2trackを再生してもマルチトラックアウトを出しても非常に優れた結果を出してくれました。

まさに次世代の音質,と言っても過言では無いでしょう。

Lynx Studio Technology,AURORA(n)  画像

date:
checker:Takumi Otani

Lynx Studio Technology,AURORA(n)
ショップページへ

Product Review