Solid State Logic (SSL)
XL-Desk Vol.2

お待たせしました。前回はXL-Deskの基本的な部分の紹介でした。

今回は実践編というか、古屋さんのスタジオのパッチングの実例や仮想のセッションを想定して使用例などを紹介していきたいと思います。

How to use Patch bay with XL-Desk

実際にXL−DeskでRecording/Mixsing作業をみっちりやった訳ではないのですが、感じた音質はやはりSSLのそれです。Superanalogue™回路も使用されています。また,Large Format ConsoleよりSignal pathが短いせいでしょうか。音がフレッシュです。

取扱説明書にもサンプルでPatch Bayの例が掲載されています。96穴バンタムパッチベイを5台使用してのいわゆるフルパッチの例です。実際にはスタジオの入出力やアウトボードの数などの関係で数には多少変化があると思います。

DAWが登場してからPatch Bayがないスタジオも増えてきたような印象がありますが、I/Oが一括で管理できるので便利は便利です。Recorderへの出力など変更が少ない部分とInsertなどよく変更する部分を考えた上でset upすれば音質と利便性の両立が可能です。特に商業スタジオで時間との争い、という場合にはいちいち裏に回って..などとやっているとクライアントから文句が出てきます。

使用するアウトボードが完全に固定化されている場合もしくは変更が楽な場合にはDB25=XLRで直結してしまうのが音質的には有利なのでしょうがあまり想像できません。

で、古屋さんはやはりPatch Bayを導入する、という方向に着地したそうです。ベーシックなRoutingを確立させてしまえば拡張は比較的楽です。

スタジオのアウトボード機材が全て揃っていない状態からある程度打ち合わせなどを進めていったのでお互いにシステムの提案をしつつの作業です。

リクエストをいただき、僕なりのplanを提示しwiringを行い、しばらく使っていただき、ご自身でも変更を加えたりしつつ新たなリクエストをいただく、という作業の繰り返しだったのですがその作業を通じて、XL-Deskに非常に詳しくなりましたし、古屋さんと一緒にスタジオのSignal chainを組み立てている感覚というんでしょうか。お互いの経験を元に古屋さんの仕事内容に合わせたシステムを作り上げていった、という感じです。

まだ変更の可能性があるのでざっくりとした紹介になりますが、古屋さんのスタジオでは基本的にI/Oは全てパッチベイに引っ張り出す方向になりました。また、Boothが2つあるのですが、Main/Sub boothともに16in/8outの回線を持っています。それらの入力のPacth bayへの立ち上げ、XL-Deskへの入力、500モジュールへのセンド/リターン、DAWへの出力、Master Recorderへの出力、Foldback関係の確立、Efxリターン入力、あたりでしょうか。

基本的にはハーフノーマルにして上段から下段に信号が流れるようにしました。

個人的にはPatch bayってないほうが音いいんだろうなーと思っていたのですが,僕が持っているパッチベイのイメージは大型スタジオでかなりの距離のケーブルを通ってPatch Bayに立ち上がりまた、Outboardに送られる、という物でした。レイアウト変更なども考慮にいれ長さに余裕をもたせて測ったののですが4mでXL-DeskとPatch Bayはつながります。この長さであれば目くじらをたてることもないでしょうし、この御時世スタジオ内は禁煙ですから昔のようにガリが出る、ということも少ないのかもしれません。実際殆どをPatch Bayに立ち上げてroutingしてみましたが音質の劣化は微塵も感じられません。

また、古屋さんのほうでも信頼性の高いPatch Bayを見つけてのことだったようです(London Abbey Road Studioにも導入されているとか)。

まだまだ更新されていくと思いますが、計画中の物も含め最終作業日のPatch Bayの状況です。見やすいかどうか微妙ですがコネクタの種類も記載しました。
Patch Bay側はすべてDB25です。

XLR f=DB25DB25=XLR mDB25=DB25
Row1-89-1617-2425-3233-4041-48
1AMain Booth inputSub Booth input
1-161-16
BSSL VHD InputOutboard HA input
1-81-24
2COutboard HA OutputInterface output
1-241-16
DLine inXL-Desk DAW Input
9-161-16
3ECh Insert send500 SEND
1-161-16
FOutboard input500 Module input
1-161-16
4GOutboard output500 Module outputMIX A-D Insert Send
1-161-16A-D L/R
HCh Insert Return500 RETURNMIX A-D Insert Return
1-161-16A-D L/R
5IChannel Direct OutputStereo OutputMISC.Output2MIX A-D OutputRecorder/Efx Out
1-1617-24FB1/2,ST Cue,Aux1/2A-D L/RL/R x4
JInterface InputMain Booth SendSub Booth SendRecorder/Efx InMISC. Input
1-161-81-8L/R x4

Patch BayがXL-Deskの左側にあるので500slotへのPatchがし易いようあえて右側に配置しました。

 

Interfaceとのやりとりは現状Patch Bayを経由せずに直接繋がっておりPatchが必要なのかどうか現在検証中です。また,Interface更新の可能性もあるとのことでした。

500 ModuleをPatch bayに立ち上げることにより同種のモジュールを多数揃える必要がなくなります。例えばslot9のmoduleをch2にインサートしたくなった時、直結であれば、DAWのI/Oを操作するか、Inputのパッチを変更しないといけなくなりますが、Patch bayに立ち上げることによりそれが可能になります。

現状古屋さんのスタジオのXL-Deskの500 Slotは全て埋まっており、所謂、Full-Configurationなのですが、将来的にはその中の一部を外部のスロットに移し、2-4chくらいずつEQ,Dynを導入していきたいとのことです。

話はそれますが、僕も古屋さんも機材馬鹿好きなので、作業中でもかなりお互いの情報を交換しています。

Master RecorderはTASCAM DA-3000をお使いですが、僕もMix MasterのrecorderとしてKORG MR−2000Sを使用していますのでDSD録音やアナログ機材の話などで盛り上がることしばしです。

やはり同じような哲学を持つ人が身近に入ると刺激になります。古屋さんのスタジオを初めて伺って作業して、僕もX-Dedkを使用したアナログサミングを常設化してMaster Recorderまでシステムを組んでしまいました。

話を戻しましょう。Line in 9-16を活かすべくHAも8ch入れてさらに、、バリエーションとしてもう少し欲しいとのこと。

またスタジオではGrand Pfを始め、アコースティック楽器の録音が多いそうで、TASCAM DA-3000を12台入れてDSD Multi Track Recordingもやってみたいとのこと。

当初はDAWとして,MergingのPyramixも考えていたようだったのですが、PCのマシンパワーに依存するよりは専用機を複数台集めてたほうが安定するのではないかという結論に至ったそうです。非常に理にかなっていますしDA-3000は12台までカスケードできるようですので全く夢ではありません。その際には良質なMaster Clockは必要になりそうですね,といろいろ音質に関する話題は尽きません。

今後もスタジオはUpdateしていく予定とのことですので楽しみです。

How to use XL-Desk in a session

取扱説明書にもサンプルが掲載されてされていますが、もし、自分がXL-Deskを導入して使用するとなるとどういうシステムにするか、ということを考えつつ仮想のシステムを作ってみたいと思います。

ちなみに僕に依頼のある録音で多いのはバンド物という表現になりますでしょうか。いつもはスタジオにはアナログアウトボードが複数台あり、Play roomからの入力をそれらで増幅、処理しSSLのADコンバーター Alpha-Link MXに入力しAVID Pro ToolsをDAWとして使用しています。

通常のセッションは

  1. DsのRecording
  2. Bass overdubbing
  3. Gt/Key overdubbing
  4. Vocal overdubbing

という流れで進んで行きます。同時に一番多くChannelを使用するのはやはりDsの録音です。

さて,弊社スタジオにXL-Deskを設置したとして,どのような作業になるのか仮想ですが,見ていきましょう。アウトボード等はそのままあるものとして500スロットにどんな機材を入れていくのが良いのでしょうか。楽しみですね。みなさんも想像力を働かせてお読みください。

現状 Emptyだとして

Ch/SlotModuleSourceHA500Ext Insert
1VHD
2VHD
3VHD
4VHD
5VHD
6VHD
7VHD
8VHD
9
10
11
12
13
14
15
16
17/18Stereo Bus Compressor module for 500 format
19/20
21/22
23/24Click(DAW)

という状態です。

Virtual session

Recording Drums

上記の手順通りに進むとしましょう。ドラムのキットにも依存しますが,大体12-14回線くらいな印象です。

通常僕はKick,Sn,HHなどはOutborad Channel Stripで基本的な音を作って録音してしまうのでこの辺のInputはLine in 9-16に立ち上がることになりそうでが,せっかくなので極力XL-Deskを使用していきましょう。

あとはタムなどですが,これらはVHD in 1-8に入力して増幅することになりそうです。そうするとSlot 1-8にはEQが入っていたほうが良いようです。

Foldbackは Stereo Cue経由のFB Aを使用することにしましょう。DAWへの出力はDirect Outを使うことにします。

レイテンシーを考えなくて良いのでありがたいですね。Playback時の為,Dsをステレオにまとめて17/18に入力することにします。

ClickはDAW上で走らせ,Ch16に入力することにします。

Ds録音時のChレイアウトです。

Ch/SlotModuleSourceHA500Ext Insert
1EQOH LVHD(In)
2EQOH RVHD(In)
3EQFloor TomVHDIn
4EQLo-TomVHDIn
5EQMid-TomVHDIn
6EQHi-TomVHDIn
7EQHHVHD(In)
8EQRideVHD(In)
9Kick inOutboard
10Kick outOutboard
11Sn topOutboard
12Sn bottomOutboard
13
14
15
16
17/18Stereo Bus Compressor module for 500 formatDs L/R(DAW)
19/20
21/22
23/24Click(DAW)

Overdubbing Bass

さて次はBassです。

ここでもアウトボードを使うことがほとんどですが,XL-Deskで行うとなるとLine,MicをそれぞれVHD inに入れることになります。

とするとSlot9-10にはDynamics,特にCompressorがほしいですね。76のコピーモデル等いいと思います。

Bassistへの返しはやはりFB Aを使いますが,Dsをどのようにモニターするかですね。Kick,Sn,HHあたりはモノラルCh9-11に立ち上げておいて独立してST Cueに送れるようにしておき,それ以外はCh17/18あたりにまとめてステレオで返してしまえば問題ないでしょう。

Bass録音時のChレイアウトです。

Ch/SlotModuleSourceHA500Ext Insert
1EQBass LineVHDInSlot9
2EQBass MicVHDInSlot10
3EQVHD
4EQVHD
5EQVHD
6EQVHD
7EQVHD
8EQVHD
976系コンプKick(DAW)
1076系コンプSn(DAW)
11HH(DAW)
12(Bass)(DAW)
13
14
15
16
17/18Stereo Bus Compressor module for 500 formatDs L/R(DAW)
19/20
21/22
23/24Click(DAW)

Bassの入力はCh1,2で500SlotのEQを経由した後Patch Bay経由でSlot 5,6のコンプを挟んであるイメージです。Playback用にCh12にBassを立ち上げてあります。

Overdubbing Electric Guitars & Keyboards

僕はE.Gtの録音時にはアンプにマイクを2本使用するので今回もその想定で行きます。

E.GtはL,R,Obli,Solo等複数本録音することがほとんどですが,まとめてCh19/20にステレオで戻してモニターに送れば問題ないでしょう。

Ch/SlotModuleSourceHA500Ext Insert
1EQE.Gt Mic1VHDIn
2EQE.Gt Mic2VHDIn
3EQSynth LVHDIn
4EQSynth RVHDIn
5EQVHD
6EQVHD
7EQVHD
8EQVHD
976系コンプKick(DAW)
1076系コンプSn(DAW)
11HH(DAW)
12Bass(DAW)
13
14
15
16
17/18Stereo Bus Compressor module for 500 formatDs L/R(DAW)
19/20(E.Gt)(DAW)
21/22(Synth)(DAW)
23/24Click(DAW)

「Gt Soloにディレイ入れようか」みたいなときにはST Returnに立ち上げればOKです。

Overdubbing Vocals

いよいよVocalです。

僕は良く76系のコンプで叩くので今回もその想定で行きましょう。せっかくなのでSlot9に入れたコンプを使うことにします。

Ch/SlotModuleSourceHA500Ext Insert
1EQVocalVHDInSlot9
2EQVHD
3EQVHD
4EQVHD
5EQVHD
6EQVHD
7EQVHD
8EQVHD
976系コンプKick(DAW)
1076系コンプSn(DAW)
11HH(DAW)
12Bass(DAW)
13(Vocal)(DAW)
14
15(Backing Vocal L)(DAW)
16(Backing Vocal R)(DAW)
17/18Stereo Bus Compressor module for 500 formatDs L/R(DAW)
19/20E.Gt(DAW)
21/22Synth(DAW)
23/24Click(DAW)

Gt Soloのディレイと同じく,RevはST Return2に立ち上げれば問題ありません。Clickの場所を変更してCh23/24にするのもありではないかと思います。

ざっくり持ち帰り用のRough Mixをくれ,と言われたらざっくりバランスを取ってStereo Bus Compressor module for 500 formatでトータルを叩きMaster Recorderに流し込めばOKです。

録音時に基本的な音は作ってあるので「じゃぁ1時間位時間もらえますか?」みたいなことにはなりません。

いかがでしょうか。今回のVirtual Rec SessionだとSlotは10個埋まりました。逆に言うとあと6スロット空いています。

僕ならここにCompを2set x3機種入れると思います。もしくは500slotはすべてEQにしてExt. InsertにCompを挟む,と言う手もありですね。Mixingだとそちらのほうがやりやすいかもしれません。SSLのパッケージが500シリーズのE-EQモジュールになっているのはそういう理由かもしれません。このクラスのConsoleを買う方はおそらくアウトボードなどでCompもお持ちでしょうからそれもアッテのことでしょう。

あとはDAW上でミックスするもよし,AutomationはDAWにまかせてST Cueを含めた,32モノラル+6ステレオでアナログサミングするもよしといった感じでしょうか。

所謂Split Consoleに近いイメージのこの方法の他にもJazzなどの小編成であれば,In-Line Console的な使用も可能だと思います。その場合だと500 SlotはEQでアウトボードをExt Insertに用意したほうがいいかもしれません。ただ500SlotとExt InsertのInsert Pointは変更不可能ですのでEQ->Compが好きな人は問題無いと思いますが,Comp->EQが好きな人は逆にセッティングになるでしょう。

Afterwords

こうして考えるとXL-DeskはシンプルなLine Mixerとして使用することも可能ですし,自分の用途に合わせて最小限の投資でシステム構築を可能にする,優れたコンソールですね。

「こういうことがやりたいのだが,XL-Deskはどうなんだろうか?」と気になっている方お気軽にお問い合わせください。

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