MILLENNIA
HV-3D-8

5年ほど前,MILLENNIAのHV-3Cのレビューを書きました。再びMILLENNIAの登場です。今回は8ch HA しかもシリーズ的には4世代目の"D"です。

どんな感じなのか早速見て行きましょう。

Product Overview of HV-3D-8

前述のレビューにも書きましたがMILLENNIAの音は中域がしっかりしていて高級感のある音です。

HV-3Cが1Uであるのに対し,HV-3Dは2Uとなっています。同シリーズにHV-3C-4という4chのモデルもありますが,内部回路は同じとのこと,代理店によれば「電源を4津のHAでわけるか8つで分けるかだから厳密には同じでは無いかもしれないが,回路構成は同じなのでそこまで極端な差は出ないはず。」とのことです。

周波数特性は4Hz~300kHz +0/-3dB,最大ゲインは61.5dB,最大出力レベル(=headroom)は32dBです。パネルを1ch分見てみましょう。

上部左には出力が+25dBに達すると点灯する赤色のインジケーター "OL"と出力信号が-35dB付近で点灯するSP(=Signal Present)のインジケーターがあります。もうちょっと細かくレベルが見れるといいのかなとも思います。32dBもHeadroomがあるとここで歪まなくともI/Fなどで歪んでしまいかねません。ManualによるとOLがついたからといって歪んでいるわけではないとのことです。まぁ25dBだとその後の機材で歪みが生じるでしょうけど。

2つのインジケーターの右には+48Vと+130Vというボタンがあります。それぞれファンタム電源とDPAマイク用の130V供給のスイッチです。130Vはオプションです。同時に2つのマイクを使用することはできません。

その下はGAIN STAGEを選ぶボタンがあります。それぞれ18dBのゲインアップを行い,コントロール可能な増幅率が
A,B=OFF:8.0-25.5dB
A=ON,B=OFF:26.0-43.5dB
A,B=ON:44.0-61.5dB
と1.5dBステップで(一部2.5dB)コントロール可能です。

Sound Impression of HV-3D-8

さて,実際の音,操作感に移りましょう。先日のQTC50の時にHAとして使用したのとお客さんのご依頼でデモでお使いいただき,その時の録音dataを頂いたのその時の観点から見ていくことにしましょう。

Ds Rec

まずQTC50でDsを録音した時の観点です。AVALONDESIGN M2mkIIから切り替えたのですが,中域がしっかりして張りが出てきます。M2mkIIがワイドレンジにどっしり,という印象,HV-3D-8はしっかりという印象でしょうか。やはり肉厚という印象です。邪魔になるという感じではなく扱いやすい中域の音,という感じです。さすがにこの価格,空間の再現性はどちらもピカ一ですね。ややHV-3の方がまとまりがあるように感じます。

ISAシリーズのHAとも比較しましたが,HV-3の方が印象は良いです。

ただ,なんでもかんでもHV-3を通すと最終的には中域がやや飽和気味な感じになるのかもしれません。ISAの音がマルチマイクで色々重ねていくのに適していて、HVシリーズの方がO/Dなどが比較少ない録音に向いていると思います。

アコースティック楽器,をメインで使用するときには非常に良いと思います。

Piano Rec

HV-3やISA,m802などを使用してホールでピアノを録音した音源を入手できました,というかデモの際にお客さんが録音したdataをいただくことが出来ました。吊りマイクのステレオをオンマイクのステレオの2ステレオで3機種分いただくことが出来ました。当日の収録は僕は不参加ですのでマイクの距離などは不明ですが,そのぶん先入観なくチェックが可能です。

同じマイクでここまで違うかねー,というくらいに違います。音が違うのはもちろんなのですが,取れている空間の感じと言うか雰囲気と言うか。

オフマイクだから余計になのかもしれませんが,他の2機種がそっけなく収録できているのに対し,HV-Cは温度感が明らかに違います。演奏家のテンションまで見える感じというと言い過ぎでしょうか。

Afterwords

ちょっと欲しくなってきてしまいましたね。HV-3Cでもいいなぁと思う次第です。あ,あとPhaseが無いのはちょっと「?」です。搭載していないのには何か理由があるのでしょうか?あと本体はめちゃくちゃ熱くなります。1Uのブランクは必須ですのでご注意を!

MILLENNIA,HV-3D-8 画像

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Product Review