KLARK-TEKNIK
DN540

今回見ていくのはコンプレッサーです。どちらかと言うとStudio GearというよりSR/PAでよく見られるKLARK-TEKNIKの製品です。1Uに4chのCompressorを詰め込んだ製品です。早速見ていきましょう。

Product Overview of DN540

Quad Compと銘打ってあるように4chのコンプが収められています。スペックを見ていきましょう。

Inputs

Type
Analogue, electronically balanced female XLRs (Pin 2 hot)
Impedance
10k ohm
Maximum input level
+22dBu
Common mode rejection
Typically, -80dB at 1kHz

Outputs

Type
Analogue, electronically balanced male XLRs (Pin 2 hot)
Signal drive capability
<600 ohm
Output impedance
<60 ohm
Maximum output level
+22dBu

EXT inputs

Type
Analogue, electronically balanced Jack sockets
Impedance
20k ohm
Maximum input level
+22dBu
Common mode rejection
Typically -60dB at 1kHz

Performance

Maximum signal level any input or output
+22dBu
Frequency response
±0.5dBu (input to output), 20Hz to 20kHz
Dynamic range
>116dB (22Hz to 22kHz unweighted)
Noise at main output with unity gain
-94dBu
Distortion at 1kHz 0dBu with steady unity gain condition
<0.05%
Signal delay
0 seconds

Compressor

Threshold scale
-50dB to +25dB
Ratio scale
Minus infinity (-4):1 to 1:1
Attack scale
0.1s to 20ms
Release scale
50ms to 2s
Presence scale
Minimum (flat) to maximum (-3dB at 5kHz)
Gain scale
0dB to 18dB

Terminations

Audio
3-pin XLRs (male and female) and 1/4" TRS balanced Jack sockets
Power
3-pin IEC

Power Requirements

Voltage
100VAC to 240VAC ±10%
Frequency
50Hz to 60Hz
Consumption
<25W

その他

Dimensions
44.5 mmH(1U) x 483 mmW x 305 mmD
本体重量
4.6 kg
作動環境
+5°C to +40°C
保存環境
-20°C to +60°C

パネルを見ていきましょう。一部Specと重複しますがご了承ください。

chの構成ですが,コントロールとして

THRESHOLD
-50dB ... +25dB
RATIO
1:1 ... ∞:1
ATTACK
0.1ms ... 20ms
PRESENCE
Min(Flat) ... Max (-3dB@5kHz)
RELEASE
50ms ... 2s
GAIN
0dB ... 18dB

とノブが並び

BYPASS
バイパスです
HARD
ハードニーに切り替えます
AUTO
Attack/ReleaseをAutoにします。
MTR I/O
Meterの表示のIn/Outを切り替えます
EXT
External Sidechainを有効にさせます
LINK
右隣のchとLinkさせます

とボタンが配置されています。

Ch1-4で大きな違いは無くch4のみLINKボタンが無い,位でしょうか

入出力はXLRになっており,Sidechain inputはTRS-Phoneです。ミキサーのインサート回路がInsertケーブルを用いるUnbalanceの場合はちょっと注意が必要ですね。電子バランスですので3PinをGroundに落とす必要は特にありません。

Gain Reduction(ATTENと表記)とI/O Levelはそれぞれ6つのIndicatorで表示されます。

通常のコンプで見慣れない操作子としてはPRESENCEでしょうか。僕はてっきりDrawmerのDL251に搭載されているENHANCEのような機能かと思っていたのですが,どうやら信号をの高域をBoostするのではなくDetecterへの信号の高域を抑える事により高域のコンプレッションを控えめにする,というSidechain Filterのような役割に近いようです。

Sound Impression of DN540

さて,実際の音に参りましょう。今回お客さんがデモをしたいということで代理店さんからお借り出来ました(Y川さんありがとうございます!!)。

今回はCh1=Kick,Ch2=Vocal,Ch3/4=Master,ということにしました。Ch1,2はTRS=XLRx2のインサートケーブルを使用し,Ch3/4はConsole =>DN540 =>Graphic EQの順にシリアルで接続しました。

まずトータルコンプとしての印象です。いつものセッティング(Ratio=2.5:1,Attack=25-30mSec,Release=最短,Threshold=Peakで3dBくらいのGRに)して試してます。効果がわかりやすいようにちょっと深めにCompressionしてみましたが,きれいにレベルが下がっています。コンプ臭さ,というのは薄いです。

ATTEN=10dBくらいで「そういえば」とPresenceつまみをMINからMAXにまわしてみました。僕も含めその場にいた全員が「おー!」と声をあげます。高域の詰まった音が緩和され,自然な音に変化します。Compressionかかっているのですが,中域に音がよっていないというかそういう感じです。

流石にこのままではOpeはやり辛いので先ほとのATTEN=3dBくらいに戻して,次に声(=LeadVocal)です。

TalkBackの回線にInsertし,やはりいつものセッティング(=声を張り上げたときにGR=3-5dBくらい)にしてみます。ここでもサラーッとした印象は同じでいつも使用しているアナログコンプの癖も見えてきます。ここでもPresenceをMAXにしてみましたがやはり高域の抜けが良くなり,レベルが安定しているけどComp感が少ない感じになります。EQとも異なる処理なのでハウリングマージンが徒らに低下することもありません。

効果がわかりやすいので喋ってもらってAttack TimeやPresenceをしばらくいじってもらいました。

Kickの回線に対してPresenceを有効に使えればKickのアタック感を上手く出せるのでは無いかという自然な意見がでてきました。

実際に試してみるとEQとは異なりますがKickの自然なアタック感が確かに残っています。

ちょっと強めに潰して,アタックを調整し,ATTENが適正値になるようでするだけで非常にナイスなKick Soundが得られます。

一緒にdbxの1066もデモしたのですが,やはり印象が違います。1chあたりの値段が異なりますから(定価ベースでdbx 1066=¥38,500/ch KT DN540=¥62,500/ch)単純な比較は出来ませんが,いつもの使い慣れたdbxサウンドとの違いに彼らも興味津々です。

僕の印象だとdbx 1066はBassのラインなど,太めに出したい楽器に向き,DN540はやはりPresenceノブのお陰で高域の存在感をコントロールできるのでVocalなどに向く,という印象です。Kickに関しては好みとジャンルに依ると思います。

今回は試しませんでしたがSnareもDN540のほうが僕は好きでしょう。

昔使ったことのあるKTのコンプとは全く別の印象でした。

Afterwords

dbx,AMEK,SSL,MC77,RNC500などのコンプとは全く別のサウンドキャラをもつ優秀なコンプです。

500シリーズのモジュールに回路が移植された製品もリリースされそうです。

興味がある方是非チェックしてみてください。

KLARK-TEKNIK,DN540 画像

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checker:Takumi Otani

KLARK-TEKNIK,DN540
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