GENELEC
8260A
オタリテック K松さんにお招きいただき、GENELECの新製品8260Aの発表試聴会に行ってきました。場所はastro studio(audio-technica)です。
GENELEC社初の同軸はどんな製品でしょう。早速見ていきましょう
オタリテック K松さんにお招きいただき、GENELECの新製品8260Aの発表試聴会に行ってきました。場所はastro studio(audio-technica)です。
GENELEC社初の同軸はどんな製品でしょう。早速見ていきましょう
8000シリーズ初の3wayスピーカーとなる8260Aですが、ぱっと見た目は2wayです。前述の通り、高域と中域が同軸スピーカーになっているのです。
お約束のスペック行きましょう
です。見た目は8000シリーズのあの丸みを帯びた形です。8000シリーズ最大のスピーカーの登場ですね。
8000シリーズをさらに分けると82XXシリーズと80XXシリーズに分けることができますが、8260Aは82XXシリーズです。DSP搭載のシリーズに属します。そうです。8250Aのレビューにも記載されているAutoCal™が使用可能です。AutoCal™に関しては8250Aのレビューをご覧いただくとして、8260Aに戻りましょう。
GENELEC社 イルポ・マルチカイネン会長、GENELEC International Sales Managerラルス氏もいらしており、開発の直接の話はマルチカイネン会長がしてくれました。個人的には非常に興味深い内容だったので簡単にですが、8260Aに搭載されているテクノロジーをご紹介しましょう
今回の開発にあたり、同軸スピーカーと言う事で、同軸スピーカーの持つ致命的な欠陥を克服する必要があったそうです。それがMDC™="Minimum Diffraction Coaxial" Technology(最小回折同軸技術)です。MDC™とは同軸スピーカーが持つ深刻な欠点を克服し、なめらかな周波数特性を確保できる技術です。
さらにおなじみMDE™="Minimum Diffraction Encloder"。いわゆる8000シリーズの外見を決定している技術です。
DCW™="Directivity Control Waveguide"。これも8000シリーズの外見を決定している技術です。
AutoCal™とチョット関係があるのかもしれませんが内部には3台のアンプユニットが搭載され、8260Aはアナログアンプを採用したとのこと。DSPで最適化された信号をアナログアンプで鳴らすというスタイルに落ち着いたとのことでした。いろいろなリスニングを行ったようです。InterBEE2009にも出展されていましたが、その時とは高域の感じが少し違っていました。
メーカー推奨はやはり、AutoCal™による細かな調整なのですが、DIPスイッチも有ります。
計14個のスイッチがあり、低域のコントロール、高域のコントロールなどが可能です。DIPスイッチを最適化して使用することが可能なDIPtimizer™というソフトも有ります。
指向性についても興味深い資料を見せてくれました。同軸の部分は周波数にあまり影響されることなくほぼ一定です(通常「回折」の度合いは周波数が低くなるにつれ大きくなります)。この安定した指向性が、周りからの乱反射を抑え、極端に表現すると「EngineerにSpeakerから出ている音」だけを届けることが可能です。
さて、ここまでが前半です。いやでも期待は高まります。8030A,8250Aのレビューの時にも書きましたが、GENELECの印象って「音が若干派手なモニター」という部分があります。実際8000シリーズは旧シリーズ1030や1031とは異なる音色なのですが。
今回の8260Aはどうでしょう?
オタリテックさんが用意してくれた音源をいろいろ聞いたのですが、まず非常に高解像度です。同軸の位相の揃った音がします。またAutoCal™の調整のおかげだと思いますが、非常にフラットな音質です。レンジも広く、言う事有りません。録音で使ってみたくなるというと誤解をまねくでしょうか。Mixでは使えないということではなく、マイキングやプリアンプの特性など細かい部分まできっちり見えそうです。音楽制作の重要なステップを乗り切るのに頼もしい相棒といえるでしょう。
もちろんMixでもその威力を発揮してくれるでしょう。僅かな位相のズレなども描き出す能力を持っています。その素直な特性から想像するに"OverEQ"や"Over XX"になることは少ないでしょう。
今回僕は会場センターの最前列に一人で座っていたのですが、再生系の機材は左側に用意されていましたがそこから位相の狂った乱反射が聞こえてきたくらい、スピーカーの位相は揃っていました。おそらく向かって右側のSpからの直接音でしょう。中域あたりに変な位相のズレを感じました。終わって後ろ向きに聴いても印象が変わらなかったので、おそらくそうでしょう。
サイズ的に少し大きいので80XXシリーズあたりと比べると設置できる環境というのは少ないのかもしれません。サイズ的にも完全にMidfieldです。
ただ8260Aがあれば、ラージはいらなくなるんじゃないかと思います。「いらない」とまで行くと言い過ぎでしょうか。使用頻度はかなり減ると思います。
できれば是非とも8030A位のサイズでMDC™搭載のスピーカーを出して欲しいです。8230Aになるのかな?(←「お前が決めるな」という声が聞こえてきそうですね) とかあると結構プロジェクトスタジオでの需要あるんじゃないかと思います。
GENELEC久しぶりの3Way Speaker。気になる方はお気軽にお問合せください。7月位からデモ可能とのことです。
流石に完全スタジオ機なので普通のマイクを試聴するようには行かないと思いますが(苦笑)。 詳細に関してもwebで告知していきたいと思います。
せっかくですから、発表試聴会の模様をもう少し。
会場入口に並んだ GENELEC 8000シリーズ。8260Aの先輩であり、弟分です。
手前から8020B,8030A,8040A,8240B,8250Bです。
今回96kHz24Bitの再生機として使用されていたSADiE。高解像度PCMからDSDまで扱うことができる(機種/Versionに依る)マスタリング&オーサリングソフト/ワークステーションです。
今回の8260Aの結線状況(Ch L)です。アナログに加えAES/EBUです。コントロール用のカテゴリーケーブルも見えます。
以上、発表試聴会の現場からお伝えしました
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checker:Takumi Otani
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