AVALON DESIGN
VT-737sp (modified)

今回取り上げるのは僕の大好きなAvalon Design VT-737spです。これはHA+Compressor+EQの複合機、いわゆるChannel Stripです。Avalon Design本国のページにはDIRECT SIGNAL PATHとあります。このDIRECTというのは「Recorderへダイレクト」と言うことで、ミキサーなどを経由させなくても大丈夫、ということですね。

Product Overview of VT-737sp

現在日本では(というより世界的に?)入手が困難なAvalon Design製品(やっと入荷のめどが立ちましたね。良かった良かった)。今回はその中からVT-737spをreviewしましょう。Music PlantのAnnex Recordingの機材です。
コレはフルディスクリート製品であるADシリーズを生産してきたAvalon社が初めて作り出したtube製品ということで有名でしょう(厳密にはVT-737が初めて、spはその後継機種)
VTシリーズにはほかにVT-747spという製品もあります。
VT-737spは軍用真空管6922を4本 増幅管として使用し、Optical Compressor、passive shelving EQ+Active Peaking EQという構成になっています。いわゆる"Channel Strip"です。

僕は高級感溢れるAvalonの製品が大好きで、それは音ももちろんですが、見た目も非常に憧れというか、好感がもてます。
実際の使用に際しては真空管機材らしくwarm upが必要ですが、僕はコレを非常に大事にしています。
Avalon製品だけでなく、真空管機材は、「もう充分だろう」という状態までHeat upさせて、真空管の性能を引き出してやっています。
簡単な回路構成は前述の通りです。もう少し細かく見ていきましょう。

Input/HA Section

入力部ですが、737は3種類の入力を受けることが出来ます。

  • Mic
  • Line
  • Inst

です。Gainノブの隣のセレクタでカチカチと切り替える感じです。GAINノブは共通となっています。そのあとにはHPFのつまみと、+48V,High GAIN,HPF,Phaseのスイッチが並びます。
HPFは6dB/oct.で 30-140Hzまで連続可変です。一般的な12dB/oct.異なりますので「めちゃくちゃ効く!」という印象はありません(主にVo録音に使用するからというのもあると思います)。

Compressor Section

その横はCompressor部です。VCAではなくOptical Compです。チャンネルストリップタイプに搭載のコンプはAttackやReleaseが2者選択式のものが多い中、流石に高級機、attack/release共に可変です。その上部にはThreshold/Raioのノブが並びます。
Theresholdは-30dB ... +20dB,Ratioは1:1 ... 20:1まで連続可変です。
Attackは2msec ... 200msec,Releaseは100msec ... 5 secで連続可変です。
GRもここで切り替えます。VUなのであまり早い反応はしてくれません。こればっかりは仕方ないでしょう。

Equalizer Section

大きなVUメーターをはさんで、EQ部です。
2バンドのPassive EQと2バンドのDiscrete Active EQから構成されています。
Active EQはFsスイープのSemi-parametric EQでPassive EQは周波数が4種類から選択式になっています。

BASS

15Hz,30Hz,60Hz,150Hz ,Gain=±24dB, Shelfing固定

LOW MID

35Hz ... 450,350Hz ... 4.5kHz(×10Push時), Gain=±16dB, Peaking, Q=0.5/2.5

HIGH MID

220Hz ... 2.8kHz,2.2kHz ... 28kHz(×10Push時),Gain=±16dB, Peaking, 0.5/2.5

TREBLE

10kHz,15kHz,20kHz,32kHz:Gain=±20dB, Shelfing固定

すごいのが、このPassive EQのHiとLoです。上記のとおりそれぞれ32kHzと15Hz、もはや人間の可聴領域外です。もちろん、ここだけをピンポイントに操作するわけではないのですが、始めてみたときは思わず突っ込んでしまいました。

Active EQをサイドチェインに送ることも可能です。

リアパネルですが、Mic inのXLR端子、Line inのXLR端子、出力のXLR端子がシンプルに並んでいます。Compressor Linkのための1/4" Phoneもあります。電源はユニバーサルパワー(切り替え式)ですから世界中どこで使用しても問題ありません。

Sound Impression of VT-737sp

さて、肝心の音ですが、太くて滑らかでヌケの良い音がします。「太い」といっても高域もしっかり存在しています。一回り大きくなる感じです。ライン回路も通しただけで音がガシッとして、タイトになります。ロックな感じというよりは上品なアダルトな、ヨーロピアンな感じです。ローが程よく締まりますが、無くなるわけではありません。Kickのinsertに使用したり、BassのID代わりに使用したりしていましたが、とても良い感じの低域を出してくれます。Kickの場合はジャンルを選ぶと思いますが...。
僕は録音時にはセンターラインの楽器に良く使用します。Bassやボーカルなどですね。
またMixだけを頼まれたときなどに、一度DAしてVT-737spを通してCompやEQ処理を行い、再度ProToolsに戻したりします。
やはりHeat upされた真空管のの音はさすがですね。EQが効いているとはいえヌケが違います。ワイドレンジで高域がシャキっとしているM2 mkIIと比較すると丸い感じなのですが、中域のなめらかさはVT-737spの方が優れていると思います。

20110123追記

2台目が入手できたのでずーっとやってみたいと思っていた「Mastering ProcessorとしてVT-737sp」を年末に試してみました。(年末といっても12月の頭くらいですが)。

オムニバスチックなCDを出す、という後輩が「5人くらいがミックスしたので仕上がりがまちまちなのです。それぞれはいいんですけど...」と言う感じで相談を受けたのです。
たしかにある程度トータル処理をされたいわゆるHeadroomの狭いマスターから、十分なHeadroomをもったモノまでいろいろです。基本的にギターを歌以外はシンセ音源なのでそこの立体感もほしいなぁ、と思いました。
WaveLabで処理してしまうのは簡単なのですが、ふと「充分にwarm upしたVT-737spを使ったらどうなるだろう」と思いつきやってみました。

Apogee AD-8000のDAC-IIからVT-737spへ、その後SSL XLogic G series Compressorを通ってdbx Quantumへ入力、そこでNormalize処理を行いました。
シグナルの流れとしてはComp(VT-737sp)→EQ(VT-737sp)→Comp(G Compressor)と言う流れですが、VT-737spのコンプはあまり使用しませんでした。むしろEQを劇的にブースとさせて質感を揃えて行った感じです。

仕上がりは上々でクライアントも「この前後を聞き比べればテキトーにトータルなんて挟むもんじゃないって分かってくれるだろなぁ」とにこやかに言ってくれました。

Mix in the Boxと呼ばれるミックスは非常に正確で良いのですが、やはりちょっとなまってほしい部分、馴染んでほしい部分はアナログを通すのが手っ取り早いなと感じました。

Afterwords

Rec,Mixともに強力に使っていける頼れる機材です。
先日録音したQi Michelanさん(Linkからいけます)の時も、Contrabassに使用しましたが(このときはマイク録音)嫌味の無い、とても存在感あるBassが収録できました。興味がある人は是非聞いてみてください。
もう1台手に入りそうです(^o^)v。ステレオで2mixにも使用してみたいですね。

2009 11 11追記
もう一台入手できちゃいました。トータルに掛けるのもいいですねー、いやー夢は広がります

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