EAW
JFL210 + JFL118

2009年6月某日都内某所にある音響特機さんの機材倉庫にお邪魔しました。Mackieの新製品やEAWのニューラインナップなどを試聴させていただきました。ただの試聴ではなく詳しい解説つきです。
余談ですが、展覧会などで僕は結構根掘り葉掘り質問をするほうなのですが、技術/開発関係の方は「待ってましたその質問!」といわんばかりの笑顔で答えてくださいます。今回も音響特機のY口さん,N田さん,S木さんありがとうございました。若干迷いつつ、無事到着、挨拶をしてシステムの説明を受けました。「トンボみたいだなー」と思っていた製品が今回のJFL210です。

Product Overview of JFL210 + JFL118

お約束のスペックです。JFL210から行きます。

EAW,JFL210のグリルがなくなると...

JFL118

ナイススペックですね。サイズや見た目の印象からはJBL VRX832LAと同じような印象を受けます。違いはHFがセンターに位置しています。VRXは左右対称ではないため若干Offsetが生まれるのかも知れませんがJFLではそんなことはないでしょう。

JFL210背面 JFL118背面 JFLのシステムは3way(Sub+Bi-amp)で鳴らすことも2way(=sub+Full-Range)で鳴らすことも可能です。今回は後者で試聴させていただきました。その場合の配線はもちろんJFL210, JFL118にスピーカーケーブルをそれぞれ引いてもよいのですが、JFL118に1±(sub),2±(Full-range)の出力を入力し、リアパネルからJFL210に出力することも可能です。コンパクトなシステムだとさほど気にならないのかもしれませんが、アンプが遠い場合などありがたいシステムですね。

またJFL210のリアパネルには"HF SHADING"というHFのアッテネーションもついています。"MULTI BOX","SINGLE BOX","LONG THROW"と3段階(画像参照)です。"Bi-amp","SINGLE-AMP(FULL-Range)"のモード切替もあります。今回はS木さんの好みで"LONG THROW"にセットアップしていただいていたのですが、切り替えて見て試聴した結果、僕もこれが一番好きでした。同行した弊社スタッフのG君は若干マイルドな音が好みなのでおそらく"SINGLE BOX"辺りが好みだったのでしょう。このことからも伺えるかもしれませんが、EQ的に(とまで言うと言い過ぎかもしれませんが)作用します。積極的に使える機能でした。

順番が前後しましたがこのときの試聴システムを記載します。

アンプはQSC PLシリーズ,クロスオーバー(というよりスピーカープロセッサー)はEAW UX8800です。
今回のX-over周波数は初期設定は80Hzでセットアップしておいてくださいました。EAWの推奨は100Hz辺りとのことなのですが、試聴した結果S木さんの判断で80Hzにしてみたとのこと。それらのプロセッシングをすべて担っていたのは前述のEAW UX8800です。ある意味肝になる部分ですのでちょっと説明します。

UX8800は言ってしまうとスピーカープロセッサーです。4in 8 outを持ち、EQ,チャンネルディバイダー,Limiter(←白眉!!)などを内部に持ちEWAの初期設定が内部に登録されています(webからDL可能です)。モデル名とアンプの増幅率を正確に入力すれば、それから適正な出力などを算出し過大入力時もスピーカーは守られるとのこと。また汎用モードを持っているので普通のスピーカーなどにも使用可能とのことです。
もちろんPCの専用ソフトと連動が可能で、このときは無線LANで制御していました。

Gunness Focusing

UX8800の(というかEAW社の)ある意味最もホットなテクノロジー(といってもう4年くらい経ちますが...)にGunness Focusing(ガネスフォーカシング)があります。DSPにより処理されるのですが、簡単に言うと

それぞれのスピーカーの特性をミクロ的に捉えることにより、入力信号にはないけれども出力信号には検出される信号を予め消し去ってしまう技術

といってよいかと思います
「入力信号にはないけれども出力信号には検出される信号」とはホーン泣きやグリルとの反射で起きる共振音などです。
昔はホーン泣きなどに対してGrqphic EQなどで対応していたわけですが、位相はずれていきますし本来カットしなくても良い部分もどうしてもカットされてしまう危険性をはらんでいます。それらをEQといったマクロな装置ではなく時間、状態にまで踏み込んでベストな状態を提供してくれるのです。後述しているJFLシリーズの位相特性のよさはGunness Focusingが大きく影響しているのかもしれません。
UX8800にモデル名を入力する意味はここにもあるのです。今後もGunness Focusingのdataは、旧モデルも含めてどんどん蓄積されていくそうなので、昔のシステムがUX8800を通すことによりよみがえる可能性はあります。

実際には昔の製品が驚くほど良くなって、UX8800を導入してから旧モデルでも全然モダンな音に対応できるようなったそうです。

Sound Impression of JFL210 + JFL118

さて早速の試聴です。いつものリファレンスCD数枚をかけて確認させてもらいました。 まあ当たり前ですが音良いです。もろアメリカンというわけではありませんが、ヨーロピアンという感じではありません。しゃきっと使い易そうな音です。このしゃきっと感は前述の"HF SHADING"でも変更可能ですし、UX8800でも抑えることは可能でしょう。今回モノラルだったので左右のつながり、という部分はちょっと確認できませんでしたが、レンジの広さ、位相特性のよさを感じました。おそらくきちっとセッティングすればとても綺麗なステレオイメージが眼前に広がることでしょう。

さて、このJFLの推奨X-over fsは100辺りとのことでしたので、一旦100Hzにしてもらいました。低域の分離感というかダンピングのよい感じが出てきます。そこにいた関係者全員が「アメリカっぽい」と評価していました。
ソースの兼ね合いもあるのでしょうがいまいちしっくりこなかったので、90Hzにしてもらいました。僕はここが一番しっくり来ました。ちなみにX-over fsは1Hz単位で変更可能とのことでのでキメ細かなセッティングが可能です。

更に前述のUX8800のLimiterですが、非常に良くできています。アナログのチープなリミッターのように「パツーン」と叩くような感じではありません。「かかったな」というのは分かるのですが、非常にRockな感じといいますか高価なLimiterを通した様な感じといいますか。むしろスレッショルド低くして普通にTotal Compとして使いたくなるような感じです。

Pink Noiseを出し位相特性もSmaartで測定したのですが、特性はとてもよかったです。さすがに0°一直線とは行きませんが、クロスオーバー辺りでの乱れもなく自然につながっています。この位相の乱れが少ないというのは非常に大きなアドバンテージになると思います。他者のアレイシステムと比較したわけではありませんのでEAWがずば抜けて位相が良いかどうか、とたずねられると自信はありませんが、あれほど乱反射が多そうな会場でSMAARTのカーブが滑らかな特性を描いていたのは驚異的ではないかと思います。その証拠というわけではないのですが、モノラルソースできちんと奥行きなどが表現されていました。

音量変化によるバランスの変化が少ないのも好印象です。小音量ものからHeavy Metalまでしっかり対応できるでしょう。

Afterwords

タイミングにもよりますが、そこそこの現場でも使ってみたいですね。バンドモノもMixがやりやすそうです。設備導入でも気になっている方いましたお気軽にお問合せください。

もちろんレビューはまだ続きます。次回はEAWのFloor Monito MW12/MW15です。乞うご期待

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