AKG
P420
2015年初レビューが2月になるとはいやはや...。
今回見ていくのはスタジオ定番機を多くリリースしているAKGがプロジェクトスタジオ向けのコンデンサーマイクP420です。
C414、C451やD112など代表機もさることながらD3800などの隠れた銘器も見逃せない最も信頼の高いマイクメーカーの一つでしょう。
今回プロジェクトスタジオ向けということで安価な価格帯ですがAKGということで期待も隠せません。HibinoのI藤さんからデモ機をお借りしプリプロの現場などで使用することができました。早速見て行きましょう。
Product Overview of P420
専用ショックマウントと本体がしっかりしたケースに収められています。程よい重量感とつや消しのブラックが好印象です。サイドアドレスラージダイアフラムコンデンサーということになりますね。
スペックに参りましょう。
- 形式
- コンデンサー型
- 指向特性
- カーディオイド/無指向性/双指向性
- 周波数特性
- 20Hz ... 20kHz
- 開回路感度
- -31dBV re 1V/Pa
- 最大音圧レベル
- 135dB SPL(パッドOFF、THD 0.5%)
- 等価雑音レベル
- 16dB SPL( Aウェイト)
- パッド
- 0/-20dB
- ローカットフィルター
- Flat/300Hz
(12dB/oct) - インピーダンス
- 200Ω以下
- 電源
- ファンタム DC48V/2mA以下
- コネクター
- XLR 3ピン
- 寸法・質量
- φ53×160mm、525g
- 付属品
- サスペンション付ホルダー
キャリングハードケース - 別売アクセサリー
- ウインドスクリーン(W 4000)
比較するのもどうかと思いますがC414とC214のスペックも記載しておきます。
C414 XLS
- 形式
- コンデンサー型
- 指向特性
- 無指向性/ワイドカーディオイド/カーディオイド
ハイパーカーディオイド/双指向性とそれぞれの中間 - 周波数特性
- 20Hz ... 20kHz
- 開回路感度
- -33dBV re 1V/Pa(±0.5dB)
- 最大音圧レベル
- 140dB SPL(パッドOFF、THD 0.5%)
- 等価雑音レベル
- 6dB SPL(Aウェイト)
- パッド
- 0/-6/-12/-18dB
- ローカットフィルター
- Flat/40Hz(12dB/oct)/80Hz(12dB/oct)/160Hz(6dB/oct)
- インピーダンス
- 200Ω以下
- 電源
- ファンタム DC48V/約4.5mA
- コネクター
- XLR 3ピン
- 寸法・質量
- 幅50×高160×奥行38mm、300g
- 付属品
- サスペンション付ホルダー(H 85)
- ポップスクリーン(PF 80)
- ウインドスクリーン(W 414 X)
- 特性データシート
- 布製ポーチ
- キャリングハードケース
- 別売りアクセサリー
- マイクホルダー(SA 18/3B、SA 60)
C214
- カプセル
- 1インチ ラージダイヤフラム
- 感度
- 感度20 mV/Pa (-34 dBV)
- 周波数レンジ
- 20 to 20,000 Hz
- ノイズレベル
- 13 dB-A (IEC 60268-4)
- 指向性
- 単一指向性(カーディオイド)
- 最大 SPL
- 136 / 156 dB SPL (0 / 20 dB Pad)
- ダイナミックレンジ
- 123 / 143 dB-A (0 / 20 dB Pad)
- ハイパス・フィルター
- 160 Hz, 6 dB/Octave、スイッチ切替可
- パッド
- 20 dB、スイッチ切替可
- ファンタム電源
- 12 to 52 V (IEC 61938)
- サイズ
- 160 x 55 mm
- 重量
- 280g
ノイズの部分が結構違いますね。10dB異なりますから注意したいところです。
C214はC414と同等のカプセルを使用していますが、P420にそれは期待できません。
ただ、指向性切り替えも搭載しておりコスパに優れたモデルと言えそうです。ドラムの録音時にルームマイクとして使用するなどの用途にも向いています。
Sound Impression of P420
安いからといって使えないでは製品の意味がありません。ことマイクとHAはそういう印象があります。音質のチェックもいわゆるマイクをつないで声を出しました、では伝わらない部分がほとんどです。というわけで某バンドのプリプロの時に使ってみました。
このバンドさんとは付き合いがそこそこ長く、いつもはMojave AudioのMA-201 fetや、真空管マイクなどを使用しています。またHAもFocusriteやSSL、Avalon Designを使用しCompもPurple Audio MC77などを使用しています。今回はPCとI/Fでリハスタで簡単に録音という感じでした。
セットして回線チェックがてら軽く自分の声を聞いた感じの印象は「スッキリしていてAKGらしい音」という物でした。高域に少しシャリシャリした部分を感じましたがこれは新品のマイクにつきものなので無視します。
軽く歌ってもらいながらゲインを設定し、コンプを挟みます。録音終了後Vocalistの意見としては「結構好き」とのことでした。
バンド編成はDs、Ba,Gtで、それらをすべてマイク収録でしたのでしょぼいマイクだと音が前に出てこなくて困るのが関の山です。Vocal録音の際もI/FのHAを使用しましたので同じ環境下できちんと音が前に出てくる印象です。そうそうVocalistが良い声をしていることは付け加えておきましょう。
ざっくりミックスの際に感じたのはEQのレスポンスが良いということ。安価なマイクでは高域が細く、収録、ミックスの際になかなか中域が綺麗に収まってくれない、ということが多い印象ですがそういった印象はありません。
後日、慣れた環境でミックスしてみました。さすがにいつものマイクと高級HAと比べると気の毒ですが、決して悪いものではなく、リハスタでLapTopPC+8ch I/Fで作った、とすれば十分でしょう。
別のタイミングで完全に別件収録、会議の収録に使用してみました。指向性をOmniに切り替えて向かい合ったテーブルの中央に設置しました。
収録目的の会議ではなく、忌憚のない意見が飛んでいる会議の録音ですからみなさん気を使ってマイクに向かって喋ってくれる、ということは皆無です。
Gainを高めに設定してCompで丸め込んでRMSを稼いだのですが、無理の無い音質が収録できました。ストレスのない印象です。
Afterwords
なかなかポテンシャルを感じるマイクです。値段をみて「どうなんだろうなぁ」と思い込んでいたのですが、先入観って良くないですね。
余裕をみてアコギやオーバーヘッドにも試してみたくなりました。
ガチな1本かというと違うと答えざるしかありませんが,初めてのコンデンサーマイクの導入をお考えの方、コレクションのバリエーションを増やしたい方に,是非とも検討に加えていただきたいマイクです。
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