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ADAM
S1X

ADAMのA5Xのデモを行うときにCFEのO山田さんから「ぜひ聞いてみてください!」と説得され、試聴する機会を得ました。ADAM の上位機種SXシリーズです。どんな音がするのでしょうか

Product Overview of S1X

実はInterBEEだかでS1XをはじめSXシリーズは聞いたことがあったのですが、各一台を積み重ねてあったのでステレオで聞くのは初めてです。ちなみにその時の印象は「S2X以降はいいけどなぁ...。S1Xちょっと低域弱いなぁ。まぁ6インチだとこんなもんかぁ」と言う物。あまりポジティブな印象はうけませんでした。
なにせ値段が値段ですから。

今回もデモ機が一式機届いてチェックをした(お客さんが試聴にいらしたタイミングで音が出ないとかは許されないので)のですが、「えー、A5Xの方が低域伸びがあるじゃーん。」と思いました。実はモノラルでとりあえずつないで音が出るか確かめる、という程度のものでした。しかしこのイメージは後ほど大きく覆されます。まぁ、ですからレビューの対象になってるわけでけど。

A7のレビューにも書いたのですが、A7の時には不安定なところにぽんとおいて結構しっかりした音がしたので今回もS1Xに期待していたのです。というのもS1X 1台でA7の後継機種A7X1ペア買ってお釣りが来ます。さらにAbbey Road Studioなどの有名スタジオにS3X-Hが採用されているなどSXシリーズのポテンシャルは充分ですから。ですから最初の「ポンと置いてチェック」のがっかり感はそれもう、というものでした。

スペックです。

ウーファー
1
口径:155mm (6 inches)
ボイスコイル直径:25mm (1 inch)
素材:ヘキサコーン™
X-ARTツイーター
1
振動板面積:24.2cm² (3.5 inch ²)
圧縮伸長比:4:1
振動板重量:0.17g
内蔵アンプ
2
ウーファー:200W/280W peak
ツイーター:50W/100W peak
コントロールパネル
入力感度調整幅:±10dB
ルームEQ < 160Hz:±6dB
ルームEQ > 6kHz:±6dB
ツイーターレベル調整幅:±4dB
一般的データ
周波数特性(±3dB):40Hz ... 50kHz
THD > 80Hz:≦1.5%
短時間サイン波音響出力(1m/100Hz ... 3kHz):≧103dB
最大ミュージック出力:≧113dB
クロスオーバー周波数:2,200Hz
アナログ入力:balanced XLR
入力インピーダンス:10kΩ
重量:6kg
キャビネットの防磁仕様:オプション
寸法:295mmH x175mmW x260mmD

さて、ウーファー:200W/280W peak,ツイーター:50W/100W peak入力感度調整幅:±10dBあたりから完全にスタジオユースのオーラを感じます。もちろん入力もXLRしかありません。

まぁたしかにアマチュアユースでSXシリーズを導入すると言う人は殆どいないでしょうから正しいのでしょう。「僕がしっかり鳴らせるような防音設備を持ってないところには、やめたほうがいいよ。」と言われているようです(笑)。

Sound Impression of S1X

さて、実際の音に移りましょう。ADAM A5Xmusikelectronic geithain RL906と試聴です。A5Xは価格差が甚だしいですが、RL906はいい勝負してくれるでしょう。

A5XからS1Xに切り替えた瞬間そこにいた全員が、「おー、スゲー!!」と声を上げました。モノラルの残念な状態を知っているので一番びっくりしたのは(多分)僕です。

定位、レンジ、奥行き感、位相感どれをとっても高得点です。音にオーラがあるというんでしょうか、まぁこれは錯覚でしょうが、一部の音がモニターよりも手前に定位しているように感じました。
別のタイミングで他の方にも試してみていただいたのですが、「これはすごい、価格だけのことはある...」とある意味残念そうにおっしゃっておいででした(ちなみにそのかたはA7Xをご購入となりました)。

RL906と比較するとRL906の方がやや中域が豊かな印象を受けます。S1Xの音、というよりはADAMの音とMEGの音と言って良いと思います。

定番のチェック、インシュレーターをいれてみました。中域がスムーズになり高域の透明感が出てきます。A5Xの時もそうだったのでADAMの特徴なのかもしれません。普通のモニターはインシュレーターを入れると中低域の解像度は改善するのですが、高域に透明感が出たのはADAMが、もっと言うとX-ARTツイーターを搭載している機種が初めてだった様に感じます。

S1Xを聴いて一番印象に残ったのは位相感と奥行きの表現です。前述のお客さんも視聴時に「S1Xだけこちらから何かチリチリした音が聞こえる...」とおっしゃってくださって、結局近くにあった物体からの反射で有ることが判明、カーテンで覆うと「あ、消えた消えた!!」と、一件落着です。位相が乱れること無く音が綺麗にとんでいるからこそ感じられたのでしょう。

一緒に試聴したスタッフが「この音を聴いていないと、この精度のMixはできないんだなぁ...」とぼそっといったのが非常に印象に残っています。

正直正確にセッティングできない環境下だとなかなかその実力は発揮できないかもしれません。モニター構築のスキルも必要でしょう。ただ、S1Xがしっかり鳴ったときのセッティングやバランスはそれはもう素晴らしいものでしょう。ADAMのモニターに全般的に言えることですが、やや辛口で正直なモニターと言えるでしょう。決して意地悪(どう頑張ってもちゃんと鳴ならない)のではなく、ちゃんとスピーカーをドライブできるMixにしないとちゃんとなってくれない、と言う部分があります。
もしADAMでMixしてちゃんと鳴っていないとしたらしおれはおそらくEngineerのスキル不足の可能性が高いと思います。まぁ、こんな事言ってて僕自身どうなのか甚だ怪しいもんですケド...。

20121113追記

S1Xを導入しました。以前聴いた音とはちょっと印象が違いますが,これはBreak-inを待つしかありません。

そのエージングが完了していない状態ですが,その音はやはり高いだけのことがあります。解像度の高さと情報量の多さに驚いています。

前述の通り,Inputは±10dBの可変幅しかありません。音量がコントロールしづらいのでWhirlwind IMP PAD40を導入しました。おかげでMonitr outのノブを3時くらいまで回すことができます。

こういったアイテムもシステム構築の上では便利ですね。I/Fのノブを回せなくでお悩みの方は是非試してください。

Afterwords

プロジェクトスタジオなどのニーズにも充分耐えうるスピーカーだと思います。価格はそこそこしますが、高解像度な音で録音、ミックスを行えるというのが大きなアドバンテージだと思います。

前述のとおり防音されていない設備にはちょっと厳しいですが、環境をお持ちの方には非常におすすめできるスピーカーです。

ADAM,S1X 画像

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checker:Takumi Otani

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Product Review