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Solid State Logic
XLogic E-signature Channel

今回もSSL製品をとり挙げようと思います。今回はSUPERANALOGUE RangeのE-signature Channelです。先日Xlogic SuperAnalogue Channelを取り上げましたが、同じタイミングでデモ機を借りていたので、そのときの内容を中心に見ていきましょう。

Product overview of E-signature Channel

現在(2007/5/9現在)XLogicシリーズには大きく分けて2つのラインナップが存在します。

ひとつはAlpha ChannelやAlpha VHD Pre等の比較的リーズナブルな"Alpha Range"、もうひとつがXLogic G series Stereo Compressor,SuperAnalogue ChannelやE-sign ChannelなどのSuperAnalogue Rangeです。

SuperAnalogue ChannelはXL9000Kのラッキングだと思ってもらってよいのですが、SSLの名機Eシリーズの名称を冠したXLogic E-signature Channelは、EQはもちろんその他もEシリーズを髣髴させる仕上がりになっています。
しかもただの"復刻"ではなく、その当時Eコンソールに搭載されていなかった機能も搭載されています。VHD(=Variable Harmonic Drive)等がその機能ですね。
またこのXLogic E-signature Channelですが、入力段にトランスが使用されています。Jensenトランスです。

Panel

ではまずフロントパネルを左から見ていきましょう。

HA section

Mic Gain×2とLine Gainが独立してあります。その間にDRIVEという見慣れないノブがあります。コレがオリジナルには搭載れていないVHD回路です。このDriveはMic gainの後に配され、[IN]でオン/オフできます。高次倍音を操作するツマミですね。
その右にLCOMといわれるTalkback回路に搭載されていたCompressorが搭載されています。Hugh PadghamがRackkingして持ち歩いていたことでも有名なCompですね。アタックとリリースが固定されています。

Dynamics section

その右はDynamicsです。まずDynamicsのコントロール類のスイッチが並びます。DynのBypass,Pre/Post EQなどです。Gate+Compの組み合わせになっています。[FAS ATK]スイッチや[EXP]切替スイッチなどおなじみのスイッチ類が並びます。

Filter+EQ section

更にその右はFilterで、そしてE EQが並びます。もちろんE⇔Gの切替スイッチはありません。Loのキャップは茶色、いわゆるブラウンノブEQ(02EQ)です。
[BLK]スイッチによりいわゆるブラックノブEQ(242EQ)に切り替えることが可能です。
ちょっと余談ですが、ブラックノブEQは1983年にジョージマーティン卿が彼のAIRスタジオにSSLを導入するときに共同開発されたものです。BLKを押すことにより、filterのカーブも18dB/Octに変わります各周波数帯は、

  • LF:30-450Hz
  • LMF:0.2-2.5kH
  • HMF:0.6-7kHz
  • HF:1.5-16kHz
です。

ゲインレンジは02EQ時(デフォルト)は±15dB,242EQ(BLKスイッチオン)の時には±18dBになります。

あと気になるのが[CT OUT]というボタンです。
取扱説明書によると[CT OUT]は独立した4バンドのEQではなくPultecの様な初期EQの相互作用を実現するEQに切り替えるとのことです。
事実Pultec Eqというのは周波数を同じにして、BoostとCutを同じに設定してもバイパスと同じ音はしません。一方GMLの8200EQはBoostとCutを同じレンジに設定すると何もしないのと同じ、という状態になります。すなわち乱暴な表現をするとPultecタイプ⇔GMLタイプの切替スイッチということになるのでしょうか。

Filter sectionは回すとFilterがアクティブになります。SuperAnalogue Channelには[IN]というボタンがあるのですが、E seriesはFilterをバイパスにしようと思うと、つまみを回しきらないといけません。

Sound Impression of E-signature Channel

ではプリプロ、録音の現場でのことを交えながら見ていきましょう。

プリプロ,録音ともSnに使用しました。特にねらいがあったワケでもなくたまたまです。
Gainを適正値に設定し、音を聞いてみると、まあ普通です。SuperAnalogue Channelもそうですが、Soloで聞いて劇的な音がするわけではありません。

コンプを軽くかけて、FilterでLowをカットして...
いつもやっている作業を行っていきます。面白い機能としてはLCOMPというコンプレッサーが搭載されていることとやはり、VHDでしょう。
音のイメージを変えることなく音を前に出すことが可能な機能ですね。正確には高次倍音を操作しているのですが、聞いた感じのイメージではそうなります。
VHDに関しては以前Alpha Channelの時にも触れましたがここでも書いておきましょう。

VHD(=Variable Harmonics Drive)ですが、Driveといっても激しい歪が得られるわけではありません。おそらく単体で聴いても、その効果はわかりづらいと思います。
一番わかりやすいのはMix時にインサートして、VHDのつまみを回してみることでしょう。
埋もれがちだったトラックが前に出てきます。
録音ではRoom MicにLCOMPを使用してみたのですが、いやー物騒な効き方します。
上から強引に叩きき込んでいる感じですかね。コンプというよりはリミッターに近い感じです。メーターの動きがぴたりと止まる感じです。実際のwav fileをUPしました。こちらです。そんなにツマミを回していませんが結構かかっています。
どうでしょう。いわゆるパツパツ系の音ですが、そこまででもない感じがします。表現が難しいですね。Auto gainなのでlevelも問題ありません。
単体にもかけてみたい気がしますね。

HAの特性もさすがというべきで、トランスのせいもあるとは思いますが、様々なプラグインをかけてもしゃきっとした存在感は残ったままだと思います。
この通常のコンプも強力ですね。ほんとにGRが3dBなのかと思うほどコンプ感があります。
他のいわゆるダイナミクスのように「attack」の調整が出来ないので、そう思うのかもしれません。
XLogic Channelとの違いといえば、前述の部分と、あとはEQ sectionの違いでしょうか。LFが茶色のキャップになっておりJ series以降に採用されている黒キャップとは異なっています。コンソールではオプションで切り替えることが可能ですね。
前述の通りゲインレンジが違いますが、おそらくカーブも違うのでしょう。音の印象が違っています。

先入観もあるのでしょうがE-signatureのほうがRockな音がする印象があります。トランスの関係かもしれません。

Afterwords

やはり全体に一貫している世界最高峰の機材のオーラがありますね。安心感と共に、なめてかかると(?)しっぺ返しをくらいそうな感じもあります(笑)。

Solid State Logic,XLogic E-signature Channel

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